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左岸の巨石下の空隙を魚類が利用左岸の空隙を魚類が利用ヌマムツカワムツオイカワギンブナカワヨシノボリ写真9、1 0根固工の石材の空隙を利用する魚類が、矢作川水系の花崗岩を主体とした地盤では、中小河川の河道内に点在する石は、角が残ったものが多いため、一概に不向きとは言えないだろう。■有識者・専門家の指導完成の際には、早稲田大学の佐々木葉教授をはじめ、景観・造園分野の有識者および石工の棟梁等の専門家の意見を数多く伺う試みを今後のためにも行っている(写真13、14)。現場では厳しい意見をいただく事も多いが、我々と違った視点の貴重な内容である事が多い。他分野の最高峰の先生方を相手に過不足なく説明することは、難しい場合が多い。しかし、どんな場面であっても分かりやすく説明して意見をまとめ上げ、次に活かしていくことは、土木技術者として挑戦し甲斐がある課題と考えている。■おわりに日本では大都市への一極集中が進み、地方創生が叫ばれて久しいが、自治体、民間企業、住民が一体となった取り組みはこれといった決め手が少ないように思われる。写真11、12魚道下流の河床の変化写真13 佐々木教授および石工の棟梁との現場における議論一方、国土交通省の事業である、古くは「ふるさとの川整備事業」や「多自然川づくり」、近年の「かわまちづくり」には、各主体が協働で取り組める機会があり、自然、歴史、文化を活かした地域づくりに役立つ事業が行える可能性が高い。我々コンサルタントの立場は、社会資本インフラの調査・計画・設計等に協力する中で、少しでもこのような事業が採択されるような提案・研究開発を行っていく努力が必要写真14視察状況かと思われる。参考文献1)福留脩文:水と緑の生態学的保全・復元について-鳥居川を事例として-、全国治水砂防協会主催「第4回緑のゼミナール」テキスト、2000.2)中村創・橋本健一・洲澤譲:籠川および市木川における近自然魚道に関するデザイン・施工指導の報告、景観・デザイン研究講演集№10、December、pp.241-246、20143)(財)国土開発技術研究センタ-:床止めの構造設計手引き、山海堂、1998.4)(財)ダム水源地環境整備センター:最新魚道の設計、pp.228-255、1998.6.5)福留脩文:近自然河川工法の計画視点、環境技術、23(9)、pp.535-539、1994.6)福留脩文・中村創:河床形態をデザインする河道計画、四万十・流域圏学会第3回総会・学術研究発表会概要集、pp.11-12、2003.7)須賀堯三;川の個性-河相形成のしくみ、鹿島出版会、1992.Civil Engineering Consultant VOL.273 October 2016039