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一切通し手前の現道より約5m高いところから、比較的急な勾配を経て、第一切通し付近では現道より約8m高いルートであったと推測できる。名越第三切通し中央部には、切通しの防御施設と思われる岩が埋め込まれているが、岩の表面に「やぐら」の痕跡が伺え第3切通ることから、人為的に第2切通配置されたものではなく、地震等で自然に崩れた岩が残ったものと考えられる。また、大切岸からは一定サイズの石材を切り出した跡があり、鎌図2名越切通し全体図倉市街の建築や土木の基礎に多く使用されているサイズと同じことから、石材の需要を満たすための大規模な石切場として使われていたというのが真相らしい。■今なお謎多き鎌倉古道切通し寺社仏閣をはじめとした歴史的遺産が今も数多く残る鎌倉において、切通しはメジャーなものとは言い難い。しかし、鎌倉時代より現在に至るまで少しずつその姿を変えながら存在し続けてきた切通しには、歴史的な魅力から近隣住民はもとより遠方の愛好家にも親しまれている。現在の切通しの姿は、そのほとんどが鎌倉時代のものとは様変わりしているが、訪れる人々に多くのロマンを与えてくれる。鎌倉の切通しには未だ推測の域を脱しきれない謎の部分が多い。鎌倉における歴史的資産のひとつでもある切通しの研究が今後も進められ、新たな発見により、切通しの魅力が広く認識されることを願っている。写真6名越第一切通しの「やぐら」の跡第1切通<参考資料>1)『鎌倉の橋と路』大西清治かまくら春秋社2)『政子・頼朝の鎌倉歴史散歩』二橋進徳間書店3)『「古都鎌倉」を取り巻く山稜部の調査』神奈川県教育委員会/鎌倉市教育委員会/(財)かながわ考古学財団2001年4)『史跡名越切通確認調査報告書』逗子市教育委員会2004年5)『神奈川県逗子市埋蔵文化財緊急調査報告書5』逗子市教育委員会2007年6)『史跡名越切通整備事業に伴う発掘調査報告書』逗子市教育委員会2012年7)平成24年臨時公開資料『国指定史跡名越切通』逗子市教育委員会8)パンフレット『名越切通』逗子市教育委員会2016年9)『かまくら』大森金五郎村田書店<取材協力>1)逗子市教育委員会<図・写真提供>図1参考資料9図2参考資料8P44上、写真5高橋真弓写真1、2、7水野寿行写真3塚本敏行写真4参考資料3写真6谷口史記写真7置石に残された「やぐら」の跡Civil Engineering Consultant VOL.273 October 2016043