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んだ迷路のような街を、様々な模様の壁面を見ながら歩くのは楽しい。ヤシの木で作られた厚い木の扉をくぐって建物の中に入ると、路地とは反対に広々と間取りされた住居が収まっている。中を覗くと木を植えたり水を張ったりと、様々な空間があって面白い。写真6ジェリド塩湖を停め、道端の水を味見したが後悔するほど辛かった。オアシスの街ジェリド湖を越えてしばらく進むとトズールというオアシスの街に辿り着く。少ない面積で効率良く日光を得るために、デーツ(ナツメヤシ)、果樹、畑と、高さの異なる3種類の木をうまく配置して栽培する伝統的な三層農業が残っており、人々の生活を支えている。この農業を限られた土地の中で営むには、何よりも水が大事である。砂漠の中の貴重な水資源を共有するため、人々は管理組織を作って運営した。時間単位で各人の土地に流れる水を制御しており、昔は管理員が戸板の開け閉めを手動で行っていた。オアシスの外れからトズールの街が広がる。街の中心地には昔から人々が生活する旧市街(メディナ)がある。トズールの建物の壁面は特徴的で、レンガを積み上げて凹凸で模様を表現したビットマップ画像のようになっている。細い路地が入り組海外で業務に従事してトズールの空港から首都チュニスに帰る日の夕方の搭乗便が遅れ、同じく待たされた現地の人達と食事をしながら過ごした。出発は夜になり、飛行機の窓から外を眺めると、深い藍色の夜空とべったりとした黒の大地の中にトズールの街の灯りだけが見分けられた。広い土地の中にあるオアシスは、海の中に浮かぶ島と似ていると思った。海外の仕事は、新しい物事に出会う度にその違いに驚きながら取り組んでいる。能力不足から困難な場面に出会うことも多々あるが、そこで出会った人達に助けられながらようやく前に進んでいる。どこであれ、生活する人々の中に入り、作り上げていくこの仕事に非常に魅力を感じている。写真7トズールのメディナ写真8建物の内側Civil Engineering Consultant VOL.273 October 2016047