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もあり、事業の円滑な実施のために非常に多くの時間を要しました。このうち、特に国道5号線の工業団地付近では、工業団地に向かう従業員が国道を徒歩やバイク等で横断し、交通渋滞や交通事故発生の原因となっていました。これに対してハード面とソフト面の両面から対策を検討しました。対策を実施するにあたり、解決策の協議に時間を要しましたが、交通警察を始め住民等の理解を得ることが最大の課題でした。Q3工業団地付近の道路改善に対して、どのような提案をされたのですか。A3ハード面では、国道の横断者をなくすことを目的に、人とバイクが通行可能な横断橋を設置すると共に、4車線の道路の中心に横断防止柵を設置し、物理的に横断ができない構造を提案しました。また、この事業の必要性、有効性の説明を、交通警察を始め工業団地の従業員、学校の教員・生徒及び住民に対して行いました。当初はなかなか理解してもらえなかったため、視覚的に図や動画等を活用した説明を行いました。また、ソフト面として、事業説明時には、交通安全と横断橋の利用方法について教育し、完成後も継続的に実施することで、正しい利用方法が定着することを目指しています。Q4プロジェクトを実施監理する上で、どのような点に留意されていますか。A4プロジェクトを監理する上で、特に下記の3点に留意しています。1発注機関等の関係機関、協力会社等の関係を良好に保つため、定期的なミーティングに加え、必要に応じて小まめにミーティングすることでコミュケーションを図り、円滑にプロジェクトを遂行する。2現地スタッフに対し、技術力の向上を図ると共に、報告、連絡、相談や時間の管理等を教育し、事業全体の管理を行う。3事業実施の際には、自らが現場を確認し、スタッフから上げられる課題点、解決策等の提案事項を議論し解決する場を極力多く設けるようにする。Q5今後海外業務に取り組もうとする後進へのアドバイスがあれば、お願いします。A5発注機関や協力会社等との良好な関係を常に築くことが、円滑にプロジェクトを遂行する上では重要です。対象国、分野等によって、いろいろな条件・環境・発注機関の考え方等があり、自らの経験を参考としてプロジェクトを遂行することを提案します。しかし、若い技術者が限られた経験をもとにプロジェクトを遂行する場合には、時に苦労することも予想されますので、シニア技術者等の経験者に相談し、意見を聞くことも必要です。海外プロジェクトは、技術力及びプロジェクト監理能力等を保有して実施しなければならないので、常にこれらの能力の向上を図ってもらいたいと思います。?まとめ今回お伺いしたプロジェクトは、交通改善事業で、ハード面だけではなく、ソフト面の交通安全の教育まで踏み込んで実施するものであり、新たな取り組みにも挑戦され、相当なご苦労があったと思います。また、今まで経験されてきたことを活用し、特に発注機関との良好な関係、現地スタッフへの教育等、コミュニケーションを非常に重要視されていることを感じました。このインタビューを行い、「土木は経験工学」であると言われていたことを思い出しました。皆さんも海外事業をフィールドの場とし、多くの経験を積んでみませんか。写真1交通安全教育の状況写真2工業団地付近の国道横断状況写真3バイク通行可能な横断橋Civil Engineering Consultant VOL.273 October 2016053