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Consultant273

かつて樹木は、藤布や葛布などとして私たちの衣になっていました。樹木は、私たちが生きていくためにテーブルや家具などに形を変えて役に立っています。樹木は、生きていれば大地を守り、森の水のダムになり、土壌と落ち葉は水を浄化して、根は大地を支えます。街なかでは一つの景色を創り上げ、季節を感じさせてもくれます。私たちは樹木から恩恵を受けているという意味で、ぜひ「樹恩」という思いを持って欲しいです。しかし樹木は切らざるを得ない時もあります。倒木の危険のような、人に対して危害になるような樹木は除去しなければならないため、街なかでは100年あるいはもっと先まで健全に育つ場所はほとんどありません。消耗品と言えば行き過ぎた言葉になりますが、いずれ切らなければならないからこそ、なるべく長い月日、美しい形で皆さんに愛されるような素材となる樹木を、建設コンサルタントの人たちには選んで欲しいと思います。そして切る時には、恩に報いる気持ちで礼を尽くして頂きたいのです。また、私たちが生きていく中で樹木とどう付き合えばいいのかを考えると、ぜひ1本、自分の木を作って欲しいと思います。いわゆる「マイツリー」を持ってくださいと皆さんに言っています。以前、NHKの『課外授業ようこそ先輩』に出演した際、母校の小学校6年生の子どもたちに「木を教える授業」を行いました。「自分の木を決めてください。そして、その木と話をしよう」という宿題を出しました。そして1カ月の収録の間に「毎日、木とどんな話をしたか」という日記を付けてもらいました。1週間目は「木とは話ができない」。2週間目も「木に『もうすぐ寒くなる。風邪をひくな』とか『おはよう』と言っても、返事はない。木とは話ができない」と、全員が書いていました。3週間目になると「今日、運動会で2位になった。僕の木が応援してくれたから、木に『ありがとう』と言った」みたいな日記になりました。最後の4週間目になると「私の悩みを聞いてもらいました。私は心が軽く気が楽になりました」と書く子どもたちが何人も出てきました。「僕はもうすぐ卒業するけど、彼女ができたら紹介しに連れてくる特集まちと樹の共生樹恩とマイツリー004Civil Engineering Consultant VOL.273 October 2016