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特集まちと樹の共生?木との付き合い方を探る?1街なかの樹の実態濱野周泰HAMANO Chikayasu東京農業大学/地域環境科学部造園樹木学研究室/教授街なかには街路樹・庭木・公園の樹木・雑木林・鎮守の森など、多様なかたちで樹は存在しており、身近なものとなっている。しかし、街は植物にとって決して生きやすい場所ではない。私たちの傍らにあり続ける街の樹は、どのような環境で生きているのだろうか。街におけるアメニティ人々が街に集まる背景には、快適性や利便性、新しい生活の発見、あるいは街で生活していることへの自負のようなものがあり、街、いわゆる都市への憧れが根本にあると考えられる。街は人の生活が集積する場所として社会資本の整備が進められ、快適性や利便性があるようにみえるが、真のアメニティとしての快適性は担保されていないように感じる。本来の街におけるアメニティとは、そこの生活者と地域、社会、自然との共生関係が構築されている空間であると考えられる。街には無機的な環境としての自然は存在するが、生き物と共に造り出している有機的な自然は少ない。街では人の生活のために土地を集積的に利用することから、植物、とりわけ樹木の成育する場所は極めて少ない。このように生き物による有機的な自然は街の発展と共に減少している。街路樹の条件植物が生きる街の特徴は構造物により被覆された地表にみることができる。雨が降っても、雨水は地表面で写真1ビジネス街に潤いと風格を与えている大手町のカツラの街路樹。厳しい街路環境を和らげる工夫が根の生育場所に施されている写真2 垂直緑化されたビルの円形状の柱。構造物に覆われた街では植物の能力を最大限に引き出した緑化が行われている006Civil Engineering Consultant VOL.273 October 2016