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図3主な家畜と主な家畜頭数の変化ゴールドラッシュが重要だった。1870年頃までの約15年間がピークで、1860年頃のオタゴ地方には約2万人の採掘者がいた。ダニーデンは金ブームにより第1位の人口と経済力を有し、最初の新聞、博物館、大学などが誕生した。19世紀後半はインフラ整備の時代であった。金の枯渇による不況の打開策としてボーゲル首相はロンドン市場から2,000万ポンドを借款し、公共事業に着手した。1870年代末までに1,600kmの鉄道、8,500kmの電信網が完成し、道路、橋梁、公共建築の建設が進められた。ニュージーランドの経済は牧畜業に支えられている。1844年にオーストラリアからメリノ種が導入され、1851年の76万頭から1880年の1,300万頭にまで急増した。1880年の冷凍船の発明は羊肉やバター、チーズの輸出を可能にし、1882年にはオタゴから羊肉を積んだ冷凍船がイギリスへ初出港した。以後、羊はコリデール、ペレンデール、ロムニーなど毛肉兼用種が中心となる。また、1814年に肉乳兼用牛のショートホーンが導入され、1884年にオランダからフリージアン種、1889年以降は乳量の多いジャージー種が多くなった(図3)。北島では入植した白人がマオリの土地を不当に入手する場合が多かった。森林を伐採し焼き払い、牧草を播種していく作業は大規模な森林破壊を伴う。飼育は完全屋外自然放牧で、畜舎はなく毛刈小屋や搾乳小屋以外にほとんど手を加えない。羊の場合200~4,000頭、乳牛だと100~300頭を家族労働により飼育するものが平均的である。2007年のニュージーランドの飼養数は羊3,200万頭、乳牛620万頭、肉牛340万頭であった。かつて、農牧輸出品の9割がイギリス向けだった。1961年イギリスのEEC加盟により市場をオーストラリア、アメリカ、日本などへ転換し、近年では中国、インド、韓国、西アジアなどの比重が増加している。<参考文献>1)植村善博『ニュージーランド・アメリカ比較地誌』ナカニシヤ出版、20042)ニュージーランド学会編『ニュージーランド百科事典』春風社、20073)青柳まちこ編『ニュージーランドを知るための63章』明石書店、2008<図>図1?図3の引用は植村(2004)によるCivil Engineering Consultant VOL.274 January 2017015