ブックタイトルConsultant274

ページ
20/72

このページは Consultant274 の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant274

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant274

図3ストーニークリーク橋側面図写真3曲線半径100mの『ホースシューベンド』■不遇の環境荷車用の工事道路も容易に建設できるものではなく、渓谷や山脈に沿って鉄道の施工基面に合わせて小規模な道が造られ、これを通って必要な装備や材料がラバの背中に乗せられて運搬された。砂は近くのバロン川で採取し、セメントは英国より輸入した。第2工区の中でも危険を極めたのがバロン渓谷を越える区間だった。バロン渓谷の地表勾配は平均45°で、さらに厚さ5~8mの腐植した崩れやすい土層に覆われていた。厳しい自然環境下に位置するだけではなく、地形は国内の他の山脈の鉄道路線と比べても類を見ないほど急峻であり、この地形と地質構造が建設中に深刻な地山の安定性の問題を生み出した。鉄道に適さない地盤が多いだけでなく、発破の多用や切土作業といった危険が、作業中は常に付きまとっていた。最終的にこの工区では、23名に及ぶ死亡事故が発生した。キュランダ鉄道は麓のケアンズから頂上のキュランダまでの高低差が323mあり、最大勾配は20.8‰である。直線距離で33.2kmを曲線半径100mの馬蹄形のようなカーブを多用することで75.1kmの路線長にして勾配を緩くしたのである。ちなみに軌間は日本のJR在来線と同じ1,067mmの単線鉄道だ。■トンネルと橋当初設計では15のトンネル、55の橋、153の切り通しを建設することになっていた。トンネルでは予想以上の掘削を必要とし、短い距離に98のカーブがある、蛇のように曲がりくねった路線となった。トンネルの総延長は1,746.5mで、そのうち430mの最長となる15号トンネルは、当初は1つの橋と2写真4建設中のストーニークリーク橋写真5バロン滝駅に停車中の列車つの短いトンネルで計画されていたが、地盤性状を考慮して1つのトンネルとなった。橋には木製と鉄製のものがあり、総延長はそれぞれ1,804mと244mである。渓谷の多くは流量が僅少で橋の建設が必要なほどではなかったようだが、地形条件を考慮すると建設せざるを得なかった。また、深い谷間や滝の上という地形的に不安定な場所にも橋を造る必要があった。特筆すべきは、川底からの高さが26.5mになるストーニークリーク橋だ。観光ポスターにも登場するキュランダ鉄道の顔と言っても過言ではないこの橋は、3つのトレッスル橋脚で支えられた曲線半径80mの018Civil Engineering Consultant VOL.274 January 2017