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サウスオーストラリア州アデレードアレクサンダー湖南極海ブランチタウン図1マレー川流域図ヴィクトリア湖ミルデューラトランバリーヴィクトリア州ダーリング川ニューサウスウェールズ州マランビジー川マレー川メルボルン0キャンベラコジオスコ山kmシドニー500表1各ロック&ウィアー施設名河川からの距離(km)完成年所在地1号2741922ブランチタウン2号3621928ウェイケリー3号4311925オーバーランドコーナー4号5161929ブックプーノン5号5621927レンマーク6号6201930マーソ7号6971934ルーファスリバー8号7261935ワングンマ9号7651926カルナイン10号8251929ウェントワース11号8781927ミルデューラ15号1,1101937ユーストン26号1,6381924トランバリー■干ばつがきっかけ乾燥大陸オーストラリアでは、記録の残る1860年以降だけでも広範囲にわたる干ばつが10回を数える。このうち最悪のものは「1902年の干ばつ」と呼ばれる1895~1903年のもので、この間、1892年に1億600万頭を超えていた羊は半減し、牛は1895年の1,200万頭以上から1903年には700万頭に落ち込んだという。この大干ばつにより、マレー川流域では河川開発への機運が一気に高まったのだ。そこでマレー・ダーリング水系の位置する灌漑3州、すなわちサウスオーストラリア州、ニューサウスウェールズ州そしてヴィクトリア州各政府と連邦政府は、灌漑、舟運、給水のためにマレー川の水の保全と配分を調査することを決定した。しかし、当時は干ばつに対処するための灌漑施設よりも、むしろ羊の放牧の用途や柑橘類の運搬のために、マレー川の舟運の確保が優先課題だった。そして建設が始まり、1922~1937年にかけて1~11号、15号、26号の13のロック&ウィアーが完成していったのである。これにより、河口から約1,600km上流までは、航行可能水深2mを確保している。11号以降の施設番号に不連続があるのは、1930年代に入り、船による輸送が鉄道に取って代わられたためで、26を予定していた堰を13に減らしたことによる。ブランチタウンのロッ写真1建設時のロック&ウィアー1号ク&ウィアー1号はマレー川で最初に完成した河川施設で、その設計はアメリカ陸軍工兵隊の大尉E.N.ジョンソンが行った。彼はこのほか、ロック&ウィアー11号と15号を除く全ての閘門と堰の設計に携わった。なお、ロック&ウィアー1号建設中の1917~1918年には深刻な洪水被害も発生している。■ロック&ウィアー1号一連のロック&ウィアーの設置目的は、舟運や灌漑と給水のための水位の維持である。オーストラリア大陸は古い時代の地層からなる安定大陸である。ブランチタウン周辺には、それらの古い地層を覆って新第三紀(2,300万~500万年前)の石灰砂岩と、現生の砂や泥からなる堆積物が分布している。このうち表層に分布する砂は締り具合が良好でなく、そのまま構造物の基礎として利用するには不適切だった。そこで、その下位に分布する石灰砂岩からなる岩盤を支持層として、それが浅部に分布しない場合はそこまで木杭を打設する杭基礎工法が採用された。杭長は10~18mあり、閘門および堰の基礎に用いられている。閘門図2平面図可動堰Civil Engineering Consultant VOL.274 January 2017021