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写真2今も流れるアッパー運河写真3プロスペクト貯水池写真4自転車専用道となった元ロアー運河用地写真5ブースタウン水路橋写真6建設中のカタラクトダムずに使用されている。シドニーの西35kmに位置する1888年に完成した堤高26m、堤頂長2.2km、貯水容量5,020万m 3のプロスペクト貯水池は、オーストラリア初のアースフィルダムだ。ダム天端は1898年に50cm嵩上げされ、今も給水システムにおける重要な施設である。この貯水池からはロアー運河を自然流下してパイプ・ヘッドと呼ばれる浄水場に送られる。ここで浄化された水は、配水管で都市部に供給される。これらは1888年に運用を開始し、同年、水供給と下水道のインフラを管理する委員会が設けられた。今日ではシドニー・ウォーター社がその管理に当たっている。延長7.7kmに及ぶロアー運河の高低差77cmは勾配1/10,000で、当時、注目すべき技術であった。また途中にある幅225mの渓谷を、22連の煉瓦造りアーチ形式のブースタウン水路橋を水が渡っていた。しかし1890年代に橋の構造的問題が発覚し、漏水が発生するようになってしまった。そのため、1907年に渓谷の下に造った落差3mのコンクリート製の逆サイフォンに替わっている。さらにロアー運河は、1990年代にパイプラインに置き換えられた。その際に廃止された細長い土地は、ブースタウン水路橋も含め自転車専用道として2003年に一般開放された。■緊急の施設アッパー・ネピアン・ウォーター・サプライ・スキームが完成する少し前の1885年、シドニーが深刻な干ばつに見舞われた。この段階ではプロスペクト貯水池が完成していなかった。そのため、民間会社に緊急で水の供給施設を造るよう依頼した。この時はパイプラインや木製水路を使って、ボタニー湾の湿地から水を運んだのである。わずか6カ月の作業期間で、ハドソン・ブラザーズ社はアッパー運河に沿って16の小規模なコンクリートダムを建設し、1,200本もの巨大な鋳鉄パイプを並べて8つの小川に架橋し、そして線路を横断させた。1886年1月に通水を開始し、アッパー・ネピアン・ウォーター・サプライ・スキームが完成する1888年まで、この一時的スキームは稼働を続けた。026Civil Engineering Consultant VOL.274 January 2017