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ヒースコートの丘とトンネルThe Lyttelton Rail Tunnel connects the city and the port市街地と港を繋ぐ「リトルトン鉄道トンネル」ニュージーランド、クライストチャーチ特集土木遺産XIVオセアニア入植とともに育まれてきた土木技術Special Features / Civil Engineering Heritage XIVパシフィックコンサルタンツ株式会社/戦略企画統括部/広報室油谷百百子(会誌編集専門委員)ABURAYA Momoko■ニュージーランド最古の鉄道トンネル緑が多く、「英国以外で最も英国らしい」と評されるニュージーランド南島第一の都市クライストチャーチは、1856年7月に英国国王の勅許状によって、ニュージーランドで最も古い市として誕生した。街の名前は、初期の入植者の多くが、英国オックスフォード大学・クライストチャーチカレッジの出身者であったことにちなんで命名された。英国様式の建物が立ち並び、イングリッシュガーデンが広がる落ち着いた街である。中心部の南西にあるクライストチャーチ駅から東に延びる鉄道は、しばらくすると南東方向に向きを変えた後、ヒースコートの丘をトンネルで抜け、バンクス半島の対岸にある静かな港町リトルトンに至る。このトンネルがリトルトン鉄道トンネルだ。1867年12月9日に開通したニュージーランド最古の鉄道トンネルは、かつての火山体を貫いた世界初の鉄道トンネルである。150年経った今でも現役で、1週間に50本の貨物列車が通過する。ヒースコートの丘に小さい坑口が覗く延長約2,520mのトンネルは、なぜ建設されたのだろうか。■リトルトンの地形と地質約1,100万~600万年前、クライストチャーチの南東に広がる現在のバンクス半島周辺は海であった。そこにリトルトンとアカロアという二つの火山体があり、それらが噴火したことで火山島が出来た。約6千年前になると、南島の背骨にあたる南アルプス山脈から流れてきた堆積物と、北西側にはカンタベリー平野からの風成土が積もり、火山島は南島と繋がって半島となった。15世紀頃には、マオリ族が北島からこの地域に移り住んできた。バンクス半島の中心地アカロアは、マオリ語で「ロングハーバー」という意味だ。1770年には、第一回世界探検航海に出ていたジェームズ・クック船長がこの半島を発見し、乗船していた植物学者と同じジョセフ・バンクスと名付けた。リトルトンは、リトルトン火山体の028Civil Engineering Consultant VOL.274 January 2017