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写真5リトルトン港側の坑口写真6建設中のリトルトン港側の坑口ャーチ市街地に住むこともできるようになったのである。街から農場へ物資を運ぶと共に、家畜や羊毛、穀物を農場へ運ぶこともできるようになった。また、小麦や農産物の輸出にも相当な利益をもたらした。農業組合や販売業者は英国へ小麦を輸出し、さらに広い農地の開拓によって英国羊の良質なウールの生産が行われるようになった。その一方で、短距離輸送は道路が中心であったため、鉄道は徐々に衰退し長距離輸送が中心となった。現在の主な輸送物資は、石炭、木材、鋼鉄、その他コンテナ輸出入品である。なお、石炭には硫黄分が含まれるため線路が錆び、腐食が問題となっている。他方、このトンネルの開通によってリトルトンの水供給問題を解決することもできた。リトルトン側の坑口付近には主要な水源があり、1日あたり約27万Lの水が湧き出ていた。この水を分析したところ、飲料用に最適なミネラルウォーターであることが分かった。そこで議会はポンプ付きのタンクを導入し、町周辺地区へと配水した。蒸気機関車で開通した鉄道であったが、トンネル内の煤煙の問題もあり、1929~1970年にかけて電化された。しかし電化は、クライストチャーチ駅とリトルトン駅間だけであったため、車両が古くなり更新が必要になったタイミングでディーゼル車両が導入され、今に至っている。また、当初の路線は線路幅1,600mmで敷設された。その後1877年に国の線路幅規格が1,067mmに統一されたことに伴い、変更された。移行期間中はヒースコートまでの区間が3線軌道となった。図2トンネルの地質縦断図と横断面図現在、リトルトン港にはかつての活気は感じられないものの、港には沢山の木材が積まれている。ニュージーランド南島の発展に大きく貢献したリトルトン鉄道トンネルは、今もニュージーランドの鉄道トンネルの中で6番目の長さを誇り、今日も静かにその役割を演じている。<参考資料>1)『Lyttelton : Port and Town. An Illustrated History』Geoffery W. Rice2004Canterbury University Press2)『A History of Lyttelton Port』W.H.ScotterLyttelton Harbour Board19683)『Christchurch City Contextual History Overview』Christchurch City Council4)『History of Canterbury Railways』The New Zealand Railways MagazineVolume65)『Contextual Historical Overview of Christchurch City』Dr.John Wilson2005<取材協力・資料提供>1)ARMAREONG Track Consultants(Harvey Armstrong)2)Hiromi Jin’o(通訳)<図・写真提供>図1作成:株式会社大應図2、写真6 IPENZP28上、写真1、4油谷百百子写真2塚本敏行写真3有賀圭司写真5 Harves PhotoCivil Engineering Consultant VOL.274 January 2017031