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Z O O M U P C A M E R A E Y E Sズーム・アップ・カメラ・アイズクライストチャーチ地震からの復興(ニュージーランド、クライストチャーチ)District)と呼ばれる市中心部は封鎖され全機能が停止した。軍隊等のワーキンググループ以外は立ち入り禁止となった。日本人遺族らがCTVビルへの慰霊訪問ができなかったのはこのためである。3月18日にはCBD西隣にある広大なハグレー公園で追悼式典が挙行され、日本人遺族を含む数万人が参加した。そして、カンタベリー地震復興庁(CERA: Canterbury Earthquake RecoveryAuthority)が2016年4月までの時限立法として創設されたのである。会誌編集専門委員会■カンタベリー地震復興庁の創設ニュージーランドのクライストチャーチ市中心部の一角に、真っ白な185脚の椅子が整然と、まるで芸術作品のように並んでいる。クライストチャーチ地震で犠牲になった方々をみごとなまでに表現したメモリアルだ。5本脚の事務椅子や折り畳み椅子、車椅子もある。最前列中央にはベビー用のバスケットまであり心打たれる。2011年2月22日にクライストチャーチ地震(M6.3)は発生した。震央は市中心部から南に約10kmのポートヒル直下で、震源は地下約5kmと非常に浅かった。昼食時間帯に起こり、クライストチャーチ市を中心に広い範囲で深刻な被害が発生した。コンクリートや木造よりも煉瓦家屋の被害が最も多かった。市中心部にあるCTVビルは全体が崩壊し、ここで日本人語学留学生28名を含む115名が亡くなった。日本でも大きく報道されていたが、この約半月後に起きた東日本大震災により情報発信が途切れてしまった。6月13日(M6.1)と12月23日(M6.0)にも強い地震が起こり、市内を西から東に蛇行しながら流れて海に注ぐエイボン川周辺では、液状化が発生して住宅とインフラに深刻な損傷を与えた。液状化により砂が膝の辺りまで噴き出した所もあった。地震直後からCBD(Central Business図1CERAのレッドゾーン■新しいガーデン・シティガーデン・シティとして伝統的な煉瓦建造物と美しい庭園や緑濃い並木等で人気の高かったクライストチャーチ市中心部は、地震によって大きく破壊されてしまった。6月23日には最初の復興支援計画が発表された。これはクライストチャーチ市とその周辺被災地を、被害の程度によって4地区にゾーニングすることにあった。地震動と液状化により建物やインフラの被害が深刻で、復旧が経済的に不可能と判断されたレッドゾーンは家屋と生活の再建を放棄して、住民を他地区に移転させる方針となった。レッドゾーンは主にエイボン川沿いの東部低地帯が中心で約7,500戸が対象となった。13万戸あるクライストチャーチ全体の約5.8%にも及ぶ。政府は土地や家屋を不動産価格が最も高かった2007年の評価額で買い取り、家財等の損害補償は保険会社と交渉することとした。12月21日にCERAに提出されたクライストチャーチ038Civil Engineering Consultant VOL.274 January 2017