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写真2ネパールの傾斜土槽写真3無動力での下水処理2011年2012年CODcr(mg/L)除去率(%)2500200015001000500原水濃度処理水濃度除去率%011/3 11/16 12/18 3/14 3/30 5/8 6/29 8/8 9/13図6下水処理結果(CODcr)1009080706050403020100常にきれいな処理水だと称賛された水処理を行った。処理の流れは、原バングラディシュで日本のNGO等(写真3)。水→傾斜土槽1→傾斜土槽2→048Civil Engineering Consultant VOL.274 January 2017■浄水処理:濁度等生物学的な浄水処理技術としては緩速ろ過法がある。これは原水を鉛直方向に、砂利や砂のろ過層に流下させ、層内に生息する微生物で原水の汚濁物質を浄化させる方法である。この方式は原水が比較的清浄な場合は有効であるが、水質汚濁が進みBODが増加すると、ろ過層内部が酸素欠乏になり浄化不能となる。経済発展の著しい途上国等では、上水源となる河川等の水質が悪化しており、緩速ろ過法の有効性が危惧されている。傾斜土槽法は緩速ろ過法と同じ生物学的な浄化機構であるが、排水処理の実績から明らかなように、緩速ろ過法より浄化能力が高い。これは薄層構造等による酸素の供給能力が高いためである。スリランカにおいて平均BODが37mg/Lの原水について、緩速ろ過法の前処理として傾斜土槽法で浄表1スリランカでの浄水結果緩速ろ過→最終処理水である。傾斜土槽の仕様と日処理水量を表1の注に示す5)。濁度は本法でもよく除去されている。上記試験では緩速ろ過法の前処理であったが、現在は本法のみで浄水処理がされている。この原水と処理水を写真4に示す。原水は、グッピーが泳ぐ白濁した水であったが、処理水は透明感のある美味しい水ができていた(写真5)。■浄水処理:重金属類ヒ素による上水源の汚染は世界各地で報告されており、特にバングラディシュは汚染井戸の暴露人口が多い。日本の上水基準0.01mg/L(WHOも同じ)を超える井戸水の暴露人口は4,900万人、バングラディシュの上水基準0.05mg/L超過の暴露人口は2,900万人と推計されている6)。ヒ素の多い井戸水には鉄やマンガン等も多く、これらも基準値を超えている場合が多い。により、傾斜土槽法によるヒ素を含む重金属除去の実証試験が行われた7)。本法は、装置面では現地で調達可能な材料で住民が製造可能な点、運用面では住民による維持管理と修理が可能な点が評価された。写真6に現地での傾斜土槽の製作状況(躯体は魚運搬用の発泡スチロ-ル容器で担体はスポンジ)、写真7に維持管理(定期的なスポンジの洗浄)を示す。浄水試験を行った原水(井戸水)の約1年間の平均濃度はヒ素0.19mg/L、鉄5.0mg/L、マンガン0.66mg/Lであった。鉄とマンガンの日本の上水基準は、それぞれ0.3mg/L、0.05mg/Lである。除去率は浄化を続けると上昇し、ヒ素は70%前後、鉄とマンガンはほぼ100%になった。無味無臭なヒ素は短期間での除去効果は実感できないが、鉄とマンガンの除去効果により、村では「初めて白いご飯が炊けた」と喜ばれている。ヒ素は酸化的環境下ではオキシ水酸化鉄(FeOOH)に安定して吸着項目濁度BOD CODMn総無機態窒素試料名n.t.umg/Lmg/Lmg/Lしており、水に溶出することはない。原水13.537.110.011.6これが嫌気的環境になると、鉄とヒ処傾斜土槽1 0.1 9.9 5.0 10.3理素は還元され溶解性となり水中に水傾斜土槽2 0.0 7.1 4.0 3.6緩速ろ過0.0 2.1 2.3 3.6溶出する。注)傾斜土槽12は各2×10m、担体は1は砂利、2はアンスラサイト、処理水量は8m 3・day -1バングラディシュは大河川の沖積