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写真2オルブ川を渡るベジエ大運河橋写真3マルパの運河トンネルこれらは、1694年に完成したとのことであるが、この頃、日本は元禄時代「赤穂浪士の討ち入り」が行われた時代である。その当時にこれだけのインフラ整備が行われたことに対し、驚きと賞賛の思いであった。■これは川ではなく海だ!...ライン川ライン川は、スイスを源流とし、ドイツ、オランダ国内を流れ北海に注ぐ全長1,233kmの大河川である。四国に住む私にとっての大河川といえば四国三郎と称される一級河川吉野川であるが、それでも幹川流路延長は194kmに過ぎず、まずその規模の大きさに圧倒された。また、複数の国の領土を流れるということから、沿岸の国家が条約を締結し、どこの国の船舶でも自由に航行できるようにした国際河川である。当然ながら、このような河川は日本にはない。これまで、私にとって川といえば治水と利水それに環境であったが、ライン川ではこれに、舟運と観光、川と街の一体化という点を加える必要がある。舟運と観光に関しては、ドイツとオランダ国境において、一日に600隻の船が通過し、今回の視察時においても貨物船やライン下りのクルーズ船が盛んに航行している様子が見られた(写真4)。団員の中村さんは「これは川ではなく海だ!」と叫ばれ、私も「そうだ!」と同意した。海との違いを強いて挙げるとすれば、橋の下を航行する必要性から貨物船、クルーズ船ともに船体の高さを低く抑えている点である。川と街の一体化に関しては、今回視察で訪れたデュッセルドルフにおいて、ライン川の河畔に歩行者と自転車のためのプロムナードが整備され、人と川との良好な関係が形成されていた。ただし、このプロムナードも、かつては、一日6万台もの自動車が通行する国道1号線が通り、ライン川と市街地を分断していたそうである。1993年に、この国道1号線の約2km区間を地下トンネル化(写真5)することにより、上空空間をプロムナードとして遊歩道や芝生広場などが整備され周辺市街地との一体化が可能となった(写真6)。ライン川の規模や川と街とを一体化させるダイナミックな施策を視察し、日本の河川とのスケールの違いを感じるとともに、日本にあった川づくりとは何か?ということを考えさせられた。■おわりに今回の視察において、欧州各地のインフラを数多く視察できたことは、日本のことしか知らなかった私にとって掛け替えのない財産となりました。また、団長の中村先生には、視察の内容以外に、私の住む四国の活性化等について厳しい助言も頂くことが出来ました。また、副団長の金澤会長をはじめ、SCOPE、WAVE、JCCAの皆さんJTBの高橋さん、大應の初芝さんと時間を共有できたことは何よりも代えがたいものとなりました。私は、結団式の冒頭挨拶で、これが最初で最後の欧州を見る機会になるかもしれませんと言いましたが、帰国後には、今回訪問した場所にもう一度行ってみたいという強い思いに駆られました。このような機会を与えていただき改めてお礼を申し上げます。有難うございました。写真4ライン川を下るクルーズ船写真5国道1号線の地下トンネル化の様子写真6地下トンネル上のプロムナードCivil Engineering Consultant VOL.274 January 2017061