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低差が小さい中で240kmにも及ぶ長さの水路を測量・設計し、施工した当時の技術力の高さに感動を覚えた。■秩序のある都市景観今回の視察では、大都市(各地方の中心都市)、地方都市、観光地など様々なヨーロッパの街を見ることができた。海外贔屓をするわけではないが、やはり日本と比べて美しい街並みであると感じた。ヨーロッパでは、行政による景観規制が厳しく、建築物の高さ・壁の色・新しく建築物を作ることを制限しているため、それぞれの街で統一感のある美しい景観が形成されている。建築物に限らず、屋外広告物の少なさや控えめな色使いも印象深かった(一方で、都市部・郊外を問わず住宅や公共建物に落書きが多数あり残念な面もあった)。また、都市景観においては、無電柱化が進み電線が露出していないといったインフラ整備も大きく影響しているのではないかと思う。日本ではそのように景観を重視している街は少なく、多様な建築物や派手な色使いをした屋外広告物で溢れている場合が多い。歴史や文化が異なるためヨーロッパと同じことはできないが、街の歴史を感じることができるような景観を後世に残していけるような制度や取り組みは必要だと感じた。■人を中心とした都市の交通今回は、ヨーロッパの中でも、先進的な取り組みをしていて交通インフラが充実している都市を視察することができた。スイスのベルンでは、街の中心部にトラムやバス(トロリーバスを含む)が運行されており、トラム・バス・一般自動車・自転車・歩行者がほぼフラットに整備された道路および軌道上を自由に行き交っていた。また、環境首都として有名なドイツのフライブルクでは、渋滞や環境破壊へ対策として郊外から中心地への移動に自動車を使わないためのパークアンドライドの取り組みを視察することができた。公共交通が充実させることで、中心部の渋滞解消といったメリットだけでなく、景観や環境保全にも良い効果があることを実感した。さらに、公共交通機関だけでなく、自転車に対する取り組みの充実も知ることができた。クレジットカード使用可能なレンタル自転車システムや、公共の駐輪場写真4街の中心部を行き交うトラムと歩行者【フライブルク】写真3中心部市街地の景観【モンペリエ】整備、車道や歩道での自転車レーンの整備率も高く、歩行者や自転車の安全にも配慮されていることが印象に残った。日本でも近年は自転車を活用する人口が増えてきていることから、計画的なインフラ整備が重要であると感じた。■おわりに視察の約半年前にパリ同時多発テロ事件が発生していたこともあり、出発前は多少不安な面があったが、今回の調査で滞在した都市ではどこも落ち着いていたように感じた。視察スケジュール的にも、モンペリエ~リヨンの移動に使用する予定だったTGVがストライキによりバス移動になったこと以外に大きな変更はなかった。視察中、各都市間の移動中に車内で行われた参加者によるプレゼンテーションはとても参考になったし、様々な専門分野の方々と意見交換し、知り合いになれたことは私にとって大きな財産となった。この経験をもとに、幅広い視野と柔軟な考えを持った技術者になるべく一層努力していきたい。最後に、このような素晴らしい経験をさせていただいた、中村先生とはじめとした団員の皆様、JCCAおよびWAVEの関係者の方々に深く御礼を申し上げます。写真5 道路の真ん中に整備された自転車専用レーン【バルセロナ】Civil Engineering Consultant VOL.274 January 2017065