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構図になっています。担い手が確保できないと、10年後には業界が成り立たないという危機感をもって、建設コンサルタントを魅力ある職業にするアプローチが求められています。魅力のあるプロジェクト、国を担う大きなビジョンをつくるといった、若い人に土木の壮大な役割を示す必要があると思います。六鹿:オリンピックはひとつの句読点でしかなく、その後もどんどん大きな開発が行われて、都市的なスケールの魅力が加わっていきます。その都市的なスケールの中に、すごくきめ細かい心づかいが沢山盛り込まれています。それをしっかりと発信すれば、この分野に入りたいと思う人が増えてくるのではないでしょうか。長谷川:我々の職業は「ものづくりの現場を知ることから始まる」という基本的なことを、若い人に知ってほしい。ものづくり、インフラ整備は一過性でなく、自分が主体となって継続・持続させることで、自分たちが歴史をつくるという誇りと自負を持つことが大事だと若い人に言っています。これからの土木は、将来の担い手確保も含めて、女性の活躍を推進することも重要です。六鹿:いま日本の建築学科だと、たぶん40%くらいが女性ではないでしょうか。理工系の分野の中では一番人気のある分野だと思います。長谷川:土木と建築ではそこが決定的に違います。建設コンサルタントに勤める女性は10%未満です。ようやく20代、30代の女性は増えてきていますが、40代、50代の世代は極端に少なくなります。今後も、女性が働きやすい職場整備を経営者が覚悟をもって進めていくことが大事だと思います。六鹿:新しい世代で女性がこの分野でフィフティ・フィフティの割合になったときには、すごいことになると思います。企業や組織、あるいは個人事務所でも、徐々に女性が増えてきているのは確かですし、より責任ある立場の人が増えてきています。建築ではそれが早いという気はしています。長谷川:土木は女性の職業ではないという概念は、建設コンサルタントには全くあてはまりません。少子高齢化が進む中で、若い人や女性を将来の担い手として捉えないと、業界が成り立ちません。その意味で女性が活躍できる職業として、ワークライフバランスやダイバーシティ等の働き方の改革を進めていて、これまでの業界のイメージは変わりつつあります。土木インフラは、国の経済活動を支える基盤で、若い人がそれを背負う使命感とやりがい、誇りを持つことが大事です。今度の東京オリンピック・パラリンピックがそのきっかけになり、新たな国際競争力につながることが望ましいと考えています。諸外国のトップは、インフラ整備が二流の国はすべての面で二流だと言っており、インフラ整備を進めて経済を活性化しています。日本もインフラ整備を国が発展していくための基盤として見直すことが重要で、その基盤づくりを、土木と建築の融合によって実現していくことが大事なことと感じます。新たなる協働六鹿:東京オリンピック・パラリンピックと、建築や土木の関係はとても大事です。2020年までの4年間をひとつのブースターにして、建築や土木の分野がなるべく色々な側面で協働するようになればいい。地球全体ではまだまだ伸びていく分野で、日本も考え方を変えれば、よりポジティブなものにできます。するとより多くの人たちが魅力を感じるはずなので、東京オリンピック・パラリンピックがその仕組みを考えるきっかけともなると思います。長谷川:東京でオリンピック・パラリンピックを行うことによって、それらの整備の他に、土木や建築の役割がイベントや施設運営の支えになることが重要です。土木や建築が今後の日本のために、また若者に何を指導し残すべきか、という部分で交流していくところからスタートできればいいのではないでしょうか。・JCCA「美しい国づくり専門委員会」・JIA「都市・まちづくり委員会」協働企画<写真提供>P1上富樫茂樹六鹿氏・長谷川氏顔写真、写真5株式会社南風社写真1塚本敏行写真2kyoto-design.jp写真3小澤宏二写真4塚本敏行写真5対談風景(2 0 16 . 9 .15)Civil Engineering Consultant VOL.274 January 2017005