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を吊上げ架設した後に主桁側より挿入し、主塔部サドルを通過させてからケーブル全体を一括緊張します。■技術移転の実施実施機関のMOCは組織内に設計や施工専門部署を備え、1980年代に培われた橋梁技術に基づいて、現在まで自国資金と責任によって多くの橋梁設計、施工実績を有しています。しかしながら、長い軍政時代の影響で新しい技術の導入に支障をきたし、技術者養成の指導ノウハウが欠如してきたことから、現場状況に応じて適切な橋梁計画を行うことが困難になり、施工能力の不備不足が散見しているとMOC自ら評価しています。このため、技術能力の向上を喫緊の課題と位置付け、本プロジェクトの実施において日本の優れた土木技術を身に付けるべく、本橋の施設建設と同時にMOC職員を対象にした技術移転プログラムの導入が要請されました。我が国は、日本の橋梁技術に対するミャンマー側の期待が非常に大きいことから、実施目的や期待される実施効果の大きさなどを総合的に勘案して、無償資金協力におけるソフトコンポーネントスキームの活用によって技術移転プログラムを実施することが有効であると判断しました。現在、本プロジェクトでは新橋の建設工事に合わせて、MOC若手技術者9名を対象に技術移転を実施しています。プログラムは、土質調査、河川調査、橋梁計画、基礎工設計、下部工設計、上部工設計に関する一連の業務プロセス、技術的課題の設定、具体的な検討手法などをコンサルタントから学ぶ講義編(表2、写真7)、建設工事の流れや段取り、技術的ポイントを施工業者表2技術移転プログラム講義編のカリキュラム科目主な内容土質調査地層構成と性質、柱状図、地層図、沈下・安定解析河川調査流速、流量、干満や降雨の影響、設計高水位の設定橋梁計画計画条件、橋長計画並びに支間割計画、最適橋梁形式検討基礎工設計土質定数の設定、場所打杭・鋼管矢板井筒基礎の設計下部工設計鉄筋コンクリート部材の応力度計算、橋台・橋脚の設計上部工設計PCエクストラドーズド橋の設計の流れ、PC箱桁橋の設計写真7講義編の授業風景から習得する建設工事OJT編、プロジェクト遂行や管理手法をコンサルタントと実習する施工監理OJT編で構成されています。本プロジェクトの業務主任として本橋の橋梁計画をテーマに講義を行った私の印象として、MOCの研修生は非常に真面目で、講師の説明を集中して聴講し、演習課題にも真剣に取り組み、必要に応じて周りと議論ができていると感じました。技術移転は実施機関の組織作りに貢献する支援であり、人を直接対象としているせいか、教壇に立って研修生の前向きな姿勢を目にすると大きなやりがいを感じます。■あとがき最近、ヤンゴン市の南側に隣接するタンリン市では、我が国とミャンマーの双方が官民連携で実施してきたティラワ経済特別区(SEZ)が建設され、ティラワ港の拡張工事も着々と進んでいます。また、ヤンゴン市とタンリン市を隔てるバゴー川に新たな橋梁整備事業が計画されています。このため、ヤンゴン市中心部から新タケタ橋を経てティラワ方面を結ぶ道路交通量はさらに増加すると予想されており、本橋が果たす役割も極めて重要なものになります。新タケタ橋の整備によって、周辺地域の交通環境や地域住民の生活環境の改善が図られるとともに、事業実施を通じた技術移転による現地政府職員の技術力向上によって、ハード・ソフトの両面から、ミャンマーのさらなる発展に寄与することを期待しています。Civil Engineering Consultant VOL.277 October 2017039