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1993年から2002年までの足掛け10年間、南米最南端からアラスカ、シベリアを経由してアフリカまで近代的動力を使わずに、自分の腕力と脚力、そしてかつて旅先で利用していた動物(馬、犬、ラクダ、トナカイ)も使って移動した。パタゴニアではビーグル水道とマゼラン海峡をシーカヤックで、パタゴニア南部氷床は氷河にとりつくまではシーカヤックでアルゼンチン湖を漕ぎ、氷床は徒歩やスキーで縦断した。その後、アタカマ高地とボリビアはウユニ塩湖も含めて自転車で縦断した。ボリビアとぺルーの国境にあるチチカカ湖はシーカヤックで横断後、コロンビアまで自転車を使った。コロンビアとパナマの国境地帯に広がるダリエン地峡は、当時もっとも治安の悪い地域だった。そこは組み立て式のカヤックで川をさかのぼり、そのカヤックを担いで分水嶺を越え、途中で国境も越えた。中央アメリカ、メキシコ、アメリカ合衆国は自転車で北上、カナダ西海岸のプリンス・ルパートから南東アラスカのヘインズまでの800kmをシーカヤックで移動した。アラスカのユーコン川はカヤックで、東部は自転車で、最後の新大陸最西端のウェールズまでは犬ぞりを使った。ベーリング海峡は凍ったときに徒歩横断しようとしたが、地球温暖化の影響で最近は凍結しないことが分かり、あきらめてセントローレンス島のエスキモーと彼らが捕鯨で使うスキンボートで渡ることにした。これはセイウチの皮を張ったエスキモーの伝統的なボートだ。逆風だが、ロシアからアラスカに向かっていい風が吹いていた。たまにアラスカからロシアに北東の風が吹くというので、風の力で進もうと何度かチャレンジしたが、いい風が吹かずあきらめた。最終的にシーカヤックで渡ることにした。潮も速く風が吹き荒れている。一旦出たが引き返せざるを得なかった。9日間待って、なんと無風快晴になった。ベーリング海峡の最短距離は8kmだ。真ん中にある2つの島、アメリカ領のリトルダイオミード島とロシア領のビッグダイオミード島が並んでいる。二国の国境が一番近いところの幅はわずか特集交通手段人類の移動手段010Civil Engineering Consultant VOL.280 July 2018