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ータをみると徒歩は20%程度、自転車は15%程度で安定的に利用されており、基本的な交通平日手段であるといえる。ここで注全国意すべき点は、図1の交通手段休日は“代表交通手段”であり、ひ平日三大とつの移動(トリップ)につい都市圏休日て複数の交通手段を用いるマルチモードの移動については、平日4.3地方最も長い距離を用いた手段を代都市圏休日表交通手段としたものである。データ処理上は、鉄道、バス、自動車、自動二輪車、自転車、徒歩の順を距離の長い順と想定してデータを整理している。このため、日本に多くみられるバスの利用形態である最寄りの鉄道駅から、または鉄道駅までのバス利用は図1のバスには含まれていない。同じように徒歩や自転車の数字も過小評価となっている。また、自動車についてもP&R(Park and Ride)は無視されている。このため出発地から目的地までの移動全体についての政策検討にあっては注意が必要である。自動車利用について留意すべきことは、モータリゼーションの進展が従来のように、時代とともに一方的に進むものでは必ずしもないということである。自動車先進国である欧米でも日本でも2005年頃をピークに、自動車の保有台数や道路交通量が減少気味であることが分かり“ピーク・カー現象”として注目された。この傾向が経済停滞などによる一時的なものか、新たなトレンドなのかについて世界的に関心が集まった。近年は再び微増の傾向も見られるが、自動車保有率は必ずしも米国並みの高い水準に向かうのでなく、それぞれの国や地域の交通文化の違いにより、モータリゼーションの進展時期・スピード、自動車保有の車種(自動二輪車、軽乗用車、SUVなど)や飽和水準に違いがある。関連して、1日当たり移動回数の推移について20代の若者では1987年には2.74回であったが、2015年では1.96回と3割強減少している。また、自動車利用が多い地方都市圏の休日について年齢階層別にみると、20代や30代での減少が大きく、逆に高齢者層での増加が顕著であることがわかる(図2)。後者の傾向は経済発展に伴う当時の若者や女性のマイカー普及が進んだ結果であり、しばらく続くものである。しかし、この“若者のクルマ離れ”は欧米でも見られ、経済動向もあるが、スマホの普及、対人関係の意識変化など価値観、ライフスタイルの鉄道バス自動車(運転)自動車(同乗)自動二輪車自転車徒歩図1移動の交通手段別構成比(2015)0%20%40%60%80%100%9.316.516.328.52.7 35.0 10.1 2.4 13.8 19.51.9 36.4 25.3 1.7 10.1 15.42.0 28.4 22.3 1.7 10.6 18.73.1 46.8 12.0 2.7 13.4 17.62.6 1.7 44.0 28.3 1.6 9.6 12.2(回/日)3.02.52.01.51.00.50.02.3 23.3 8.2 2.2 14.1 21.31992 2005 2015地方都市圏5-9 10-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-69 70-79 80-(歳)図2年齢階層別自動車移動回数の推移(休日)違いが大きいとされている。以上のような交通手段の利用状況、特にモータリゼーションについてみられる時代差、地域差の状況と関連する要因について様々な議論がある。世界の都市交通手段の多様性と展開動向都市交通に使われている交通手段は実に多様である。都市の地形や地理的特性から河川や湖、海を利用した水運交通が重要な事例もあるが、旅客用の陸上交通手段について、そのサービス特性で見たものが図3である。私的交通手段は車などの所有者本人が家族など、特定の人に対して移動サービスを提供するものである。これに対して、不特定多数の広く一般の人に対して有料で移動サービスを提供するのが公共交通手段である。先進国では、前者はマイカー、後者はバス、鉄道、タクシーがその代表例である。発展途上国ではこれらのほかにCivil Engineering Consultant VOL.280 July 2018019