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一方、課題もある。一番大きいのは収支の問題だオンデマンド交通オンデマンド交通と考えている。図5に示す利用者非利用者(円)1,000,000(円)1,000,000認知症ように一人を1回運ぶのに増加44%糖尿病等2,000円以上かかる地域も800,000800,000増加51%少なくない。もともと不採600,000600,000算バス路線を引き継いだコ減少54%減少47%ミュニティバスも維持でき400,000400,000ない状況で、オンデマンド200,000200,000交通を単独事業で行って00いる地域が多い。単独事0 200,000 400,000 600,000 800,000 1,000,0000 200,000 400,000 600,000 800,000 1,000,000業では運行費用が高く利2009-2010年平均(円)2009-2010年平均(円)便性改善による利用者増だけでは収支改善は難し図4医療費の変化の比較(外来)い。収支の改善には、自治(円/人回)体が運営主体となった単独事業ではなく、従来からの一人を1回運ぶのにかかる費用(円/人回)3500輸送事業者の事業の一部としてオンデマンド交通を使3000う方向に変わっていくことが必要ではないだろうか。例えば、バスやタクシー事業の中で、路線定期運行と250020001500オンデマンド運行の時間帯を分けた併用や、乗用事業1000の空き車両を乗合事業のオンデマンド運行で供用する5000ことなどを考える必要がある。これらを実現した自治体A B C D E F G H I J K L Mはまだないが、事業者との運行契約においてこれらを考慮した工夫を行った自治体はあり、これらの自治体で導入自治体図5導入地域別一人1運行あたりの運行経費は収支が改善している(図5のK、L、M)。自治体の役割は事業主体となることではなく、住民のニーズを事業者に的確に伝え、事業者の課題対応への補助や支援を行うこと、移動の動機づけとなる施設等との連携調整を行うこと、住みやすく生活しやすいまちづくりをすすめることなどになってくるのではないだろうか。すれば、バスやタクシーさらには鉄道までもシームレスにつながった、自家用車に代わる移動サービスが実現できる可能性がある。一方、そのような交通システムの運営は誰がどのように行うのか、法整備や保険など解決しなければならない問題も数多く残っているが、移動にかかわる社会全体の大きな変化は確実に訪れると考新たな課題と将来の移動への対応移動制約者への配慮の方向性がようやく見えてきたところではあるが、ここ数年これらを根底から覆しかねない新たな問題が出てきている。それは運転手不足である。現実に、いくら補助金を積まれても運転手がいないためこれ以上運行を継続できないといった事業者も出てきている。このような中、各地で実証運行が行われている自動運転に期待する声も多くなってきている。無人の自動運転ができるようになると車も所有からシェアリングに変わるといわれている。自動運転とシェアリングがオンデえられよう。変化の中で忘れてはならないのは、交通はあくまで手段であり、移動したいというモチベーションを生み出すための空間、私たちが生活する環境、そしてそこから発生する移動を支え続けるサービスの見直しが求められていることである。技術がますます進化していく中で、社会やまちづくりの観点から日々の生活に密着した「将来の移動サービス」のあるべき姿を見出していくことが、移動制約者への配慮、さらには移動制約者を生まないための配慮として重要ではないだろうか。マンド交通システムのような予約や配車システムで連携2012-2013年平均2012-2013年平均Civil Engineering Consultant VOL.280 July 2018025