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特集交通手段?あなたは何で移動する??5変わりつつある「モノの輸送」と「交通」との接線岡部牧人OKABE Makito一般社団法人ヤマトグループ総合研究所マネージャーインターネットなどを利用して買い物をするという仕組みが発達している。外へ出かけ、買い物をして、自ら運ばなくても家にいながらほしい物を得ることが可能である。一体どのようにして人のところへと移動してくるのだろうか。変わりつつあるモノの移動について考える。始めに人々の生活において、一番身近なモノの輸送はなんだろうか。実は、自分が外出する時に手に携えていく、手荷物だ。ごく自然に考えて、モノは人が歩いて自ら運ぶのが基本である。人(旅客)が交通手段を利用すると、携行されたモノ(貨物)も当然、その交通手段を一緒に利用する。交通手段の進化はそのままモノの輸送にも応用されてきたし、モノだけを専用に運ぶ方法も工夫が重ねられてきた。それは、経済の発展に伴い、物資を大量に効率的に運ぶ必要が出てきたからである。代表格は、トラックによる貨物輸送サービスだろう。本稿では、生活に最も身近なモノの輸送である宅配便を軸として、モノの輸送と交通との関係に起きている変化について紹介したい。モノの輸送を振り返るとモノの輸送を歴史的に考えてみると、移動手段が発達することで、海を越えたり、人手をかけずに大量に運んだり、短時間で速く輸送するといったことができるようになってきた。輸送手段は、馬や牛といった動物に運ばせたり、荷車が発明されたり、また近代に入ると自動車や飛行機等が登場し、高度化を続けてきたおかげで、人が自らの身体で運ばなくてもすむ方法が増えてきた。しかし、輸送手段が変わっても、運転手や操縦者のように何らかの形で人がついている点は同じである。ところで、自分で運ぶ代わりに、輸送サービスを提供する事業者に依頼する方法もある。経済が発展し、一度に大量の物資を運ぶ需要が高まったことで、トラック輸送のようにモノだけを効率的に輸送するサービスが必要とされている。日本では法制度上、そうした貨物輸送と旅客輸送とは事業として区分され、モノの輸送サービスと、人を専門に乗せるバスやタクシーといった交通サービスは分かれて発達してきた。また、宅配便のような輸送サービスが利用できるようになったおかげで、どのような変化がもたらされたのだろうか。個人においては例えば、モノを運ぶために自分が直接、目的地まで移動しなくてすむ。遠方まで買い物に行かなくても通信販売で購入できるとか、お中元やお歳暮の品物もかつては自分で携えて挨拶に回ったものが宅配便で送れるようになった。輸送サービスが発達した分、自分が移動しなくてすむのであり、つまり、本来発生したであろう人の交通がその分、起こらないことになる。モノの輸送の変化の前提交通との関わりを意識しつつ、このようにモノの輸送を振り返ると、次のような面があると言えるだろう。1モノを輸送するための輸送手段には、人が伴う(運転・操縦)2モノの輸送サービスと、人の交通サービスは、分離(事業区分)されてきた3モノの輸送サービスが利用されることで、交通量が置換(未発生)されたこれらはモノの輸送のほんの一面を捉えたにすぎないが、ある意味、基本的な事柄と言える。今、これらに030Civil Engineering Consultant VOL.280 July 2018