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写真1受け取り人が指定した場所に停車するロボネコヤマト人とモノの輸送の再統合「客貨混載」次に、日本では旅客輸送と貨物輸送は現在、別々の事業として法律で管理されている。貨物のトラック輸送は貨物自動車運送事業法、バスやタクシーは道路運送法の旅客自動車運送事業である。トラックはサービスとして乗客を乗せることはできないし、乗客を乗せるバスやタクシーが貨物を集荷したり配送することもない。そこに近年、「客貨混載」が始まった。大手宅配便3社が地方の路線バス会社と共同で取り組んでいるもので、乗客の少ない路線を走るバスの車内や車体に貨物スペースを設け、宅配便を積載するのである(写真2、3)。鉄道の客車を利用する例もある。基本的な構図としては、バス会社、宅配便会社ともに過疎地に営業所を持っており、市街地のターミナルとの間を往復する便を運行しているが、どちらも乗客や貨物は少ない。そこで、宅配便会社がこの幹線輸送をバス会社に委託し「過疎地までバスで運んでもらう」というものである。宅配便会社にとってはトラックを1便、節約できるし、バス会社にとっても路線を維持するための安定した収益源となる仕組みで、いかにも効率的である。もともと物流の世界では、輸送効率の観点から一度に大量に運ぶことで単位当たりの輸送コストを下げる努力が行われ、専門的に貨物を輸送するサービスが発達してきた。それが現在、地域によっては過疎化や経済規模の縮小によって貨物の量も、公共交通手段を利用する人の数も減りつつある。サービスを提供する事業者の経営上の事情が大きいと思われるが、再び人とモノを一緒に運ぼうという動きが始まっているわけである。こうした動きは、国土交通省も後押ししており、2017年9月からは一定条件を満たせば、過疎地でバスやタクシーが貨物を運んだり、トラックが乗客を乗せることが認められるようになった。あくまで局所的ではあるが、これまで分離してきた交通と輸送が、社会の変化を受けて再び統合し始めたと言えるだろう。写真2宮崎県における宮崎交通とヤマト運輸の共同事例写真3バスの車内に設けられた宅配便用のスペース032Civil Engineering Consultant VOL.280 July 2018