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写真4 宅配便会社が設置している地下鉄駅構内の宅配ロッカー写真5宅配便会社によるドローンの実験宅配便を受け取るために自宅の外に出る「宅配ロッカー」それから、3つ目の点である。典型例は通信販売で、どこでも買えるような日用品を電車や車に乗って買い物に行く代わりに、インターネットを通じて買ったことがあるといった経験がこれに相当する。インターネットがすっかり普及し、自宅に居ながらにして購入するようなライフスタイルになったと言われる。一方で、世帯の構成や個人の時間の使い方も変わり、なかなか自宅で受け取ることができないといった状況もある。マンションの玄関に宅配ロッカーを設置するところも増えてきたし、2006年頃からは、24時間営業するコンビニエンスストアで宅配便を受け取れるサービスも始まっている。これに加え、2016年からは宅配便会社による宅配ロッカーの設置が進んでいる。鉄道駅の構内や商店の軒先等、様々な場所へ拡大している。これは一見、不思議な現象だと思われる。自宅で買い物をして届けてもらうと言われたものが、再び、外に出るのである。受け取るためにわざわざ電車やバスに乗って遠方まで出かけることは考えにくいが、自家用車や自転車を使うことはあるだろう。輸送サービスによって一旦代替されたとも言える交通が、再び復活していることになる。最後に今、物流業界でも、自動運転やAI、モノをインターネットにつなぐIoTといった新たなテクノロジーが注目されている。自動運転、無人配送についてはロボネコヤマトの実用実験を紹介したが、もう一つ、宅配便会社によるドローン(無人航空機)を用いた配送実験も進められている(写真5)。説明は割愛するが、宅配便のオペレーションを考慮すると、ドローンは全面的に導入されるというよりも、過疎地のような固有の事情を持つ地域から活用が始まるように思われる。一方でアイデアはいくらでも出てくるもので、例えば受け取り場所を指定できるロボネコヤマトのような形でドローンが活用され、空飛ぶ移動型宅配ロッカーとして、深夜に自宅の庭先やベランダで受け取るような方法もあるかもしれない。さて、モノの輸送について、交通との関わりを意識しながら最近の動向を見てきた。物流業界は、貨物の専門家として、効率的な運用とより良いサービスの提供を目指してきた。昨今、人口減少や人手不足、地域経済の縮小への転換といった社会や経済の変化を受けて、これまで分かれてきた交通サービスや、また利用者である荷主と、受け取り手とがいかに協調するかという時代になってきたようである。物流企業に勤務してきた経験からこうした状況を眺めてみると、社会の変化の中で、事業者としてサービスを継続(維持)すること自体が重要な課題になりつつあるように思われる。<写真提供>図1、写真1?4ヤマト運輸株式会社写真5一般社団法人ヤマトグループ総合研究所Civil Engineering Consultant VOL.280 July 2018033