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2,0001,6001,200(人)8004008070通勤1日あたり目的別利用者数の変化(平日)1,500224286通学図2富山LRTの利用目的19234買い物20076通院9641,873帰宅出展)富山市(2012)「富山市都市整備事業の概要」184観光なる。つまり、早くて安い乗り物が選択されると仮定している。定常交通とされる通勤や通学などを対象とした分析ならば、これでほとんど問題はない。しかし、観光交通などの非定常交通では、そううまくいかない。なぜならこのような交通には一定程度の本源的需要が存在するからである。少し時間がかかっても景色の良い道路を通りたい、観光地を巡る新型の車両に乗車したいといった需要が存在する。そう考えると次世代交通の需要推定は難しいことがわかる。車両を新しくするだけで一定程度の本源的需要が喚起されるが、その計算方法はまだ確立されていない。2006年に富山に我が国で初めてのLRT(Light Rail Transit)が開通した。その利用者の利用目的が調べられており、図2に示す。LRT自体が利用目的の利用者は平日3%、休日14%ほどあり、本源的需要が存在することがわかる。もちろんこの本源的需要は恒久的に存在するとは考えにくい。時間の経過とともに新鮮さが失われ、徐々に低下するものと思われる。遊園地の新しいアトラクションの人気が、一定時間経過すると下がるのと同じである。派生需要と異なり本源的需要は利用者の価値観に影響を大きく受富山ライトレールJR169ライトレール133業務161451その他けるため、推計の難しさとその時間的な継続性も問題となる。このような様々な理由から交通の本源的需要の推計が、交通計画の主テーマにはなりにくかった。しかし、超高齢社会をむかえ通勤・通学といった定常交通より私事目的の非定常交通が増える中で、必然的に本源的需要の価値は高まっている。だからこそ、従来の派生需要と本源的需要のバランスや役割分担を考えることが重要となってくる。次世代の交通と都市計画人々が利用したい交通手段とは、求めているものとはどんなものであるのだろうか。都市計画の観点から、次世代の交通手段について考える。セグウェイなどの一人乗りのパーソナルモビリティ、次世代路面電車のLRT、そして自動運転車やリニア新幹線など多様な次世代交通が注目され、実用化が進んでいる。これらの次世代交通はこれまで顕在化しなかった需要への対応が期待されている。超高齢社会における短距離移動を支える超小型モビリティ、都心再生への役割が期待されるLRT、長距離の移動時間短縮化に寄与するリニア新幹線、または運転免許が不要の自動運転車など、従来の交通手段を補完したり代替した写真1オープンカフェとLRT(フランス、ストラスブール)036Civil Engineering Consultant VOL.280 July 2018