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の問題や規制のことは分かりませんから、そこはお互い「こんなことをやりたいのだけれど」となったときに、障害になるものを洗い出すような作業を同じ場で一緒にやらないと理解できません。そういう意味でも建築と土木という分野とは関係なく、同じエンジニアとして集まって議論できるようなプラットフォームをつくっておく必要があるのではないでしょうか。六鹿●虎ノ門ヒルズの場合は、民間のデベロッパーの強いリーダーシップがないと成り立ちませんでした。都市で土木と建築を融合させていく大きな力は、これからは民間のデベロッパーの強いリーダーシップというものがあり得ます。この時はまさにそうでした。村田●新しいまちづくりを行うときも、行政が動くより民間が動くときのほうが大規模になるのではないでしょうか。つまりデベロッパーのほうが、お金もあって、それなりのエリアも確保できて、建築・土木を融合させる動き方をしていくようになっていくのかもしれません。それぞれの分野でのIoT化の現状写真1汐留再開発の風景ミックスすることができました。そのときの非常に大事な法律上のブレイクスルーは、立体道路制度がつくられたことです。街区に道路が通っていたら、建築のエリアは残されたところだけになります。ところが、通常の街区を成り立たせつつ、同じ敷地上でそこに道路を載せるということを、立体道路制度というもので成立させたのです。けれども、道路と建築とは論理と安全度の考え方などが明らかに違いますから、道路は完全に筒の中に入っています。このように、土木系と建築系のコンサルティングが融合して一体のものをつくるのは、そこら中でできるわけではありませんが、これはひとつの示唆を与える例だったような気がしています。村田●規制緩和にしても単純に緩和するのではなくて、それぞれの理屈を持ちながら、いいところをうまく重ね合わせるような仕方をしていかないといけません。そのときに問題なのは、建築、土木に携わる人が、それぞれにどういう規制があるかということをよく理解できていないことです。自分たちのことはよく分かっても、相手方─両方の分野で盛んにいわれているITやIoT、BIM(Building Information Modeling)やCIM(ConstructionInformation Modeling)について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。村田●国土交通省では3年前のi-Construction「元年」、2年目の「前進」、今は「深化」ということでICT化を進めています。そのひとつがBIM/CIMという技術ですが、CIMはもともとBIMにならったもので、数年ぐらい前から試行して、今ようやく本格稼働しつつあるところです。かなり進んでいる建築の状況や、海外の状況も勉強しながら進めていかないといけないでしょう。ただ、設計段階でフロントローディングすることは、設計者にとっては時間も費用もかかり、簡単にできるものではありません。BIM/CIMによって設計自体の生産効率が上がることはあまりありませんが、その段階でいろいろなことを試行するからこそ、その後のコストも工期も大幅に短縮できることになります。そこをきちんと理解しないといけないと思います。六鹿●建築では、イギリスやシンガポールでは国家の政策としてBIMが動いています。また、実際にアメリカの大手組織事務所は確実にもう100%BIMを採用しているようです。EUでも協議会ができていて、イギリスの影響もあってかなり進行するのではないでしょうか。そういう中で日本の設計界は、幸か不幸か、日本の004Civil Engineering Consultant VOL.280 July 2018