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写真1ホーチミン都市鉄道プロジェクトのシールド工事同氏は46歳の時、海外鉄道事業部門に異動し、海外の舞台を技術者としての最終章と位置付け、国内部門で培った技術・人間力がどこまで通用するか挑戦中とのことです。これまでに同氏が携わった主な海外プロジェクトは、4か国(エジプト、インド、バングラデシュ、ベトナム)、5つで、いずれも巨大プロジェクトです。インド貨物専用鉄道西回廊プロジェクトでは、土質技術者として、膨潤性粘土層の上に構築する盛土の安定対策に従事しました。日本国内では事例が少ない特殊土であったことから、社内外の学識経験者が参加する技術検討会を設立し、問題の解決を図りました。未体験の現場条件であっても、同氏の土質技術者としての好奇心と学協会活動の人脈が活かされた舞台になったそうです。ダッカ都市鉄道6号線でも土質技術者として、全線20.1kmの土質調査と軟弱地盤上に築造される車両基地盛土の安定対策の検討に従事されました。土質調査を外部委託した技術者に対しては、土質調査時には手取り足取りの指導が必要であったり、現地調査をさせるためにきめ細かな作業手順書の作成をしたりしました。また、室内土質試験室の選定では所要の品質で試験が実施できるか下見調査に十分な時間を掛ける等、日本ではできて当たり前のことに苦労されました。ホーチミン都市鉄道1号線では、同氏が一番得意とするトンネル技術者として、ベトナムでは初めてのシールドトンネル工事を担当されました。現在も設計レビュー、施工監理に従事しています。トンネルを構成するセグメントは、現地にセグメント工場を作り、現地生産に挑戦し、成功に導きました。シールド工法は、日本が卓越した技術を有し、「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」を受けて、「質の高いインフラ技術」に位置付けられています。海外プロジェクトに日系建設業の進出を後押しする戦略として、積極的に日本の技術基準を採用するのが得策ですが、日本の技術基準の多くは日本語のみの出版物、同じ技術分野の基準であっても、用途に応じて独立した基準となっており、日本の技術基準は海外に浸透しづらい状態にあると同氏は指摘しています。そのため、英語版の充実、用途別基準の設計思想の統一化を強く訴えていました。今後、国際事業展開を目指す聴講者に対し、同氏は、下記のスキルの必要性を強調されました。●技術力と人間力●サバイバル力●契約管理契約管理については、技術者は契約管理の文書を読み解くことを避けているが、海外は契約社会なので、その回避は許容されない。FIDIC国際標準契約約款のレッドブック、イエローブック、シルバーブックの3つの契約約款の違いは、必ず理解しておく必要があると強調されていました。最後に、同氏は海外で働くことを全く想定していなかったため、英語の能力は恥ずかしいくらい低かったが、英語の基本文型SV、SVO、SVC、SVOC等の短い文章を駆使して会話することで、客先からわかり易い英語とおだてられ、なんとか仕事をしているので、英語が不得意と言う理由だけで海外業務を躊躇しないで欲しいと呼びかけていました。表2契約約款での施主とコントラクターの責任範囲Civil Engineering Consultant VOL.280 July 2018063