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土木学会特別委員会「安寧の公共学懇談会」の議論に参加して一般社団法人建設コンサルタンツ協会名誉会長パシフィックコンサルタンツ株式会社代表取締役会長長谷川伸一│HASEGAWA Shinichi私は、土木学会、大石久和会長の特別委員会「安寧の公共学懇談会」に、建設コンサルタント代表の委員として参画し、土木が我が国の歴史、文化をはじめとする、国民の生活のすべてのインフラ基盤づくりに関わり、今後もこの使命をさらに重要な形で継承していくために、今、改めて土木とは何か、また土木はどうあるべきか、また土木の公共性と公益性について議論する機会を得た。この懇談会は、筑波大学・石田東生名誉教授を座長として、大石会長を始め、京都大学の木村亮、藤井聡両教授、東京女子大学の栗田恵子教授、神戸大学の小池敦司教授、中央大学の山田正教授と建設業界から茅野鹿島建設副社長等、土木、建設、公共経済界の錚錚たるメンバーで構成され、様々な視点から「土木の本質と啓蒙」について熱い、一方で様々な知見を踏まえた興味深い議論が、一年間にわたって交わされた。この懇談会の趣旨は、「土木人は土木を狭い専門領域で捉えてタコツボ化するのではなく、公共経済、法学、また今後の問題として土地所有や気候変動なども視点に加え、社会経済活動のインフラ基盤を支える土木の意義を担う使命を再認識し、幅広い世代や分野に対する土木教育を含めて、土木の活動領域を考え直して、我が国の文化・風土と誇りにしていかなければならない」と言うことであろうと、私は理解している。この懇談会の議論を踏まえて、土木学会誌6月号では、各界で活躍されている方々に、産業、社会、経済、教育、歴史、未来など、様々な視点から土木を改めて問う企画として、「問い続ける土木―土木の領域を再考し、為すべきを成すために一」と題した特集が組まれた。私も「未来から問う土木」と題して寄稿しているが、土木の領域や深さについて改めて考える機会として、また土木に関わっていない人にも一読戴き、「土木教養がないことが我国の危機に繋がる」ことを若い、また一般の人の認識となる議論になれば幸いである。懇談会のもう一つの成果が、「歴史の謎はインフラで解ける教養としての土木学」(大石久和・藤井聡編著、産経新聞社出版)の発刊である。本著には土木が担うインフラ基盤の上に、私たちの安心・安全で快適な生活が成り立っており、土木の持つ使命、役割、情熱のエネルギーが歴史の中で文化、社会、経済を動かしてきた事実として、歴史トピックスを紐解き、解りやすく解説された、これまでにない読みやすい書籍である。本書も土木に関わる人はもちろん、一般の方の土木学入門、土木教養学の一冊としてお勧めしたい。この書籍を読むことで、土木に関わる人すべてが今、土木の意義を改めて考え、歴史上の土木の貢献を知ることで、未来への土木に関っていく誇りをより強くして、土木の本質を知り、伝承していく契機になると考えている。我が社では、土木全般の教養書として社員教育に活用し、新たな世代の土木人をより多く輩出していきたいと考えている。064Civil Engineering Consultant VOL.280 July 2018