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建築生産システムの中における建築家の分担している部分と、海外における常識的な部分とが若干ずれているため、他の国のように全部BIMに転換することは、なかなか難しいのです。それぞれの事務所で工夫をしたり、また国交省やJIAでもBIMのガイドラインをつくり随時改定したりしていますが、それぞれが努力しながら日本の実務に合うBIMを模索しています。先進的な事務所が全部BIMでやっているかというと、そうでもありません。建築の全体の発注ですら、多様な発注といわれるほどいろいろな形があります。従来だと、基本設計から実施設計まで100%建築家が設計して、図面をつくった段階で施工者を決めるというのが一般的でしたが、多様な発注の形の中ではそうではないものが出てきています。そういう中で、どれが一番主流の形態になるか分かりませんが、それにはもちろんBIMも絡んでくるでしょうし、日本では一筋縄にいかなくて、みんな試行錯誤しながら、苦闘しているのが現状ではないでしょうか。村田●企画・設計から、最後の維持管理まで通してデータを集約すれば、いろいろ便利なことができるだろうというのがBIM/CIMの発想です。建築も一緒だと思いますが、調査、設計、施工、運営という段階ごとにきちんとデータの引き渡しができないと、せっかくBIM/CIMを使ったとしても何にもなりません。土木では大手建設会社はそれぞれ独自で開発を進めていて、情報化施工など、いろいろ工夫していますが、設計の3次元データを発注者を介して施工のチームにうまく渡せるかというと、課題は多いように思います。国交省も、BIM/CIMを試行するための業務や建設工事を発注していますが、トータルとしてどう見ていくのかは、動き出したばかりです。六鹿●建築の場合はむしろ民間発注のほうが多いので、発注者と設計者と施工者と、あとで管理する人たちのベクトルがある程度揃ってこないと、BIMが本当に有効になりません。一方で、全員が同じシステムを必ずしも使えなくても、ビル管理の段階では、それらのデータの必要な部分を適切に見られればいいというところがあるので、設計と施工の段階のBIMがある程度共通化できれば、ビル管理で活用することは可能です。性もあります。六鹿●インフラ輸出をする先は、おそらく発展途上国、つまりアジアやアフリカが多いのですが、どんなアジアの発展途上国でも、私たちが思っている以上に都市中心部の建築事務所はBIM化が圧倒的に進んでいますから、インフラを輸出する際は、おそらくBIMの要求水準が高いはずです。海外におけるインフラ輸出こそ、BIMで対応せざるを得ないし、土木と建築のコンサルタントが最初から一緒になって、いろいろな枠組みやコンテンツを考えたりできるのではないでしょうか。例えば鉄道の駅と周りのセンターの都市開発と併せて提案するのであれば、土木と建築のコンサルタントを1つのチームにしたほうが、はるかに一貫性のあるものができるわけです。海外のインフラ輸出こそ協働のチャンスかもしれません。村田●海外に向けて建築、土木、また他の分野の人が日本というチームでまとまっていくことは大きな力になりますね。必然的に共通のプラットフォームができますし、双方の理解も深まっていくのではないかと思います。働き方改革の影響と対応─昨今、働き方改革への対応が課題になっています。簡単に、現状と対策を語っていただけますか。村田●我々の発注者は公共ですから、発注者からの指示が我々の働き方に直接影響します。そこで実施しているのがウィークリースタンスなどです。例えば、水曜日のインフラ輸出こそ協働のチャンス村田●今、国がインフラ輸出と声を上げていますが、そのためには、設計部隊がBIM/CIMを持っていないと通用しない恐れがあり、逆に海外からの参入を許す可能図3 働き方改革のイメージ「ノー残業デーポスター」Civil Engineering Consultant VOL.280 July 2018005