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「ノー残業デー」の実施だとか、「フライデー・ノーリクエスト」といって金曜日に休日を挟んだ仕事を出さないことです。また「マンデー・ノーピリオド」といって、月曜日納品は土日をつぶすことになるのでやめるという対応もあります。我々の仕事の約70%は3月に納期が集中して労働過多になるので、3月納期の半分ぐらいを9月頃に前倒しすることをお願いするなど、発注者と一緒になって納期の平準化について検討しています。会員企業の中には、フレックスを取り入れたり、地域を限定して仕事ができるような制度をつくったり、いろいろな工夫をしています。当然、育休や介護休なども採用しています。六鹿●我々も似たような状況にあって、基本的には会社全体で働き方改革、過重な長時間労働は悪であるという方向で動いています。発注側の民間企業も同じ立場なので、そのことを理解しています。労働基準法と労働基準監督署のさまざまな指導なども含めて、各事務所単位でいろいろ対策を取っていますが、一般に行われているのは残業時間の完璧な管理です。1カ月単位で常に目標管理と実績管理をします。働いている側も組織の側も管理する側も、いま過剰なぐらい神経を使っています。設計はクリエイティブな作業なので、ベッドに入ってから思いつくこともあるわけです。それを労働時間にカウントするか、非常に難しいですね。村田●建築士の皆さんは、裁量労働で働けますが、我々は法律に規定されている職業ではなく、一般のサービス業に分類されています。そのため管理する側は、いかに労働時間を短くするかの工夫をしています。ただ、実際に仕事をしている技術者からすると、仕事の途中で突然打ち切られても困るわけで、頑張れば頑張るほど認めてあげられないのが、とてもジレンマです。今までは個人の資格取得のための勉強は、会社でやることを認めていましたが、今は認められなくなっています。六鹿●20時前に管理職に向けて、まだ仕事をしている人たちに「早く帰るように言うように」とアナウンスが流れる。そして22時になると本当に電気を消してしまいます。労働基準監督署は、PCを消してから退出するまでにかかる時間をものすごく問題視しますね。村田●仕事が個人でやるものからチームでやる仕事になり、多様化してきています。チームでいい仕事をするためには、一人ひとりが短い時間で仕事をするようにしなければなりません。六鹿●以前より短時間労働になるので、いくら質を高めても仕事を受けられるキャパシティも減ることを考えながら、受注はかなり慎重にならざるを得ません。以前は仕事を多く取ってこなそうとしていましたが、今はキャパシティに応じて賢く受注するという考え方です。また、私たちの報酬基準は、国土交通省の推奨基準である『告示15号』がもとになっていて、いま国土交通省で見直していますが、その際働き方改革が大事なポイントになっていて、報酬基準にまで影響しているのです。村田●土木設計でも、技術者単価が毎年上がっています。我々の技術者単価は、給与に応じて決まる仕組みになっています。ある資格の人、ある職階の人の給与を毎年調査してその結果で決めます。ところが仕事がなくなってくると、辞めていく社員もいるし、廃業するところもあって、給与がどんどん下がっていく状態が、1998年か図4 技術者単価の変遷(平成10年との比較)(出典:国土交通省(閲覧公表値)ホームページより作成)006Civil Engineering Consultant VOL.280 July 2018