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写真2 建設関連業イメージアップ促進協議会による高専での業界説明会ら2011年まで続きました。2011年の東日本大震災から仕事が増えて人手が不足してくると、給与が上がり、ようやく1998年の95%くらいまで戻ってきました。ただ、それでも担い手が足りなくなっているので、品確法の改正あたりから国交省も担い手確保のために、新しい方法をいろいろ考えています。お互いの仕組みや違いを認識六鹿●土木と建築が協働する際にお互いに理解しておくべきことは、土木と建築の仕組みの違いです。まず発注者がまったく違います。また、建築では基本設計、実施設計・・・と言いますが、土木ではどうでしょうか。村田●同じ言葉を使っていますが、概念は少し違います。また、対象とする構造物によっても若干の違いがあります。海外で活動するコンサルタントを、開発コンサルタントと呼んでいます。それは、対象が主として開発途上国で、業務の対象も広範囲にわたるからです。建築と土木で海外での仕事の実例を紹介したり、お互いの日本の事例を比較すると、発注の仕方ひとつをとってもおかしなところが見えてきます。外に向かって何か良い協働提案ができればいいですね。今は協働といっても、建築の部分は建築が、土木の部分は土木がやるというようなものしかありません。私たちの会社にも建築と土木の部署があって、大規模な都市計画関係のプロジェクトなどでは一緒にやりますが、発注者自体がそれぞれ分かれていますし、同じ発注者でも担当が違いますから、それぞれ要求基準が違ってきます。六鹿●土木と建築で所轄官庁が厳然と分かれているのもすごいことです。建築に関わることでも、土木的な見方で言われると、同じ言葉でも若干意味が違うこともあ写真3 日本の協力によるインドネシア・スマラン地域総合水資源管理プロジェクトります。正しく理解するには、その違いをお互いに認識する必要があります。村田●建築と土木に分かれて基準も役所の担当者も違うのは、そもそも日本だけです。許認可も設計基準も違ってきます。これから人が少なくなってくるときに、建築のアーキテクチャーだ、ビルディングストラクチャーだ、土木のエンジニアだというだけの専門家ではなくて、すべてが分かるような専門家が必要になってきます。それは勉強の仕方も含めてですね。六鹿●大学の教育そのものが全然違うことも問題です。村田●ドイツではバウエンジニアといって建築と土木が一緒ですし、そういう意味では、教育の体系から考えないといけません。六鹿●大学に入るまでは変わらないのですが、大学では土木専攻と建築専攻で分かれていて、授業でもまったく隣接分野のことをやりません。そして実務に入ると、それぞれの中でますます自分の専門分野だけになってきます。土木、建築、都市計画という隣接分野のプロセスの典型例をまず教科書的に教えることが大事ではないでしょうか。ぜひ勉強会を開いたり、継続しているシンポジウムを通じて、お互いを理解していきたいですね。─今日はありがとうございました。【JCCA&JIA「美しい国づくり委員会」協働企画】司会:亀井尚志(JIA都市・まちづくり委員会委員長)(2018年2月15日日本建築家協会建築家クラブ)<写真提供>六鹿氏・村田氏顔写真株式会社南風社写真1樽井洋治写真2西井孝夫写真3株式会社建設技研インターナショナルCivil Engineering Consultant VOL.280 July 2018007