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特集熊本?阿蘇山との結びつき?1活火山「阿蘇」の概要池辺伸一郎IKEBE Shinichiro公益財団法人阿蘇火山博物館館長熊本県北部、阿蘇地方にそびえる阿蘇山。はるか昔には大規模な噴火を起こし、その噴火の影響範囲は阿蘇山周辺に留まらない。熊本について語るうえで欠かすことができない、今なお活動を続ける活火山の誕生から現在までの歴史を地形や地質学的な観点から学ぶ。熊本のシンボル、阿蘇山阿蘇山は九州のほぼ中央に位置し、大規模かつ明瞭なカルデラ地形を有する活火山である。現在見られるカルデラはおよそ9万年前に形成され、その直後からカルデラ内には、新しい火山群(中央火口丘群)が形成され、現在ではおおよそ17の山体が認められる。そのうち中岳が現在でも数年~十数年おきに活動を繰り返している。本稿では、熊本のシンボルでもある阿蘇火山について、地形や地質学的な観点からその概要を述べる。県の姫島から鶴見、由布、九重、熊本県の阿蘇、長崎県の雲仙)であり、もう一つはほぼ南北に連なる、阿蘇、霧島、桜島、開聞の火山列である。阿蘇火山はその交点に存在する(図2)。阿蘇火山より古い火山阿蘇火山の外輪部に見られる鞍岳や俵山などは阿蘇火山より前から存在する火山体で、それらを形成する岩石は「先阿蘇火山岩類」と呼ばれている。九州における阿蘇火山の位置づけ西南日本の地質構造を南北に大きく二分する中央構造線は、九州では臼杵~八代を結ぶ線とされる。しかし、九州における近年の地殻変動が活発な場所は、臼杵~八代を結ぶ線よりむしろ大分~熊本を結ぶ線(大分~熊本構造線)とその北側約30 kmの地帯に集中している。この地帯は「別府~島原地溝」と呼ばれ、その中では多くの新しい火山活動も起こっており、また多くの活断層が存在し、地震活動も活発である(図1)。九州の活火山の並びには特徴がある。その一つは、九州中部にあって東北東~西南西方向に並ぶ火山列(大分図1九州の構造図(岡田博有、1993)008Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018