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写真4立野火口瀬の工事現場で見られた断層・さらに高温の噴気孔が赤く焼けてみえる赤熱現象がはじまる。・噴気孔が次第に拡大し、直径数m~数十mの火孔となって火山灰の噴出「灰噴火」が始まる。同時に火山ガスが燃えるようにみえる火炎現象が見られることもある。・火山灰の中にマグマ物質(本質物)が多くなり、マグマのしぶきを数秒から十数秒間隔で間欠的に飛ばす「ストロンボリ式噴火」がはじまる。・「灰噴火」や「ストロンボリ式噴火」の時期に、地下の状況変化などによって地下水が関与すると、突発的に「マグマ水蒸気爆発」や「水蒸気爆発」を起こすことがある。・活動が衰えると、周辺から土砂や雨水が流れ込んで再び湯だまりの状態にもどる。熊本地震と阿蘇2016年4月の熊本地震は、1995年の阪神淡路大震災や2004年の新潟中越地震などと同様、内陸型(直下型)地震であった。一方、2011年の東日本大震災を引き起こした東北太平洋沖地震は海溝型地震である。日本列島は、海洋プレートである太平洋プレートやフィリピン海プレートが、陸のプレートであるユーラシアプレートや北米プレートの下に潜り込んでいるため、常に東側から圧縮の力を受けている。そのために、内陸部に様々な歪みが生じて断層が形成される。九州においても、東側からフィリピン海プレートが潜り込んで圧縮の力が加わっているため、熊本地方は活断層が多く分布しており、地震も多く発生する。先に述べたとおり、従来から九州中部には「大分~熊本構造線」が存在することについては知られていたが、今回その一部である「布田川断層」がこれまで阿蘇外輪山西縁(白川左岸)までとされていたが、熊本地震により、新たにカルデラの内側まで活断層が延びていることが地震断層とともに確認された(写真4)。この地震によって、阿蘇周辺では道路や構築物の崩壊、斜面崩壊、地盤の亀裂など、様々な被害が発生した。これは、基本的には火山灰土壌の地質であること、カルデラや火山体特有の地形が影響していること等の要因が大きい。一方阿蘇では、カルデラ東部の南阿蘇村東部、高森町、産山村、山都町、小国町、南小国町においては、比較的地震の影響は少なかった。これは、活断層から離れていることと、火砕流による強固な溶結凝灰岩が分布している地域でもあることから、新しい火山灰土壌とは異なり、地盤強度が大きかったことが影響していると考えられる。地震による火山活動への影響については、4月16日の地震直後に、中岳が火山灰を噴出したことが気象庁によって確認されている。しかしこれは一過性の噴火に終わっており、詳細はよくわかっていない。また。同年10月8日午前1時46分には、規模の大きな爆発的噴火が発生し、阿蘇市東部域を中心に湿った火山灰や火山レキを飛ばした。火口周辺では直径数mの大きな噴石も多量に噴出した。この活動が地震と関連があるのかどうかについても、よくわかっていない。しかしながら、2016年の熊本地震によって阿蘇地域でも大きな揺れが発生し、少なからず中岳の地下のマグマに影響を与えたであろうことは想像できる。地震から2年あまりが経過しているが、今後も火山活動の推移には十分に注意しておく必要があるものと考えられる。Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018011