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ば白川左岸の馬ば場くすぜき楠堰から導かれた水路は、中須山を挟んで鼻操りのある本水路と分水路に分かれ、下流で合流して再び1本の用水路となっている。分水路は分岐点において本水路に較べて路床が1m高い位置にあり、その下流には2ケ所に土砂吐きが設けられている。現存する鼻操りは、半壊状のものを含めて26基あり、代表的な鼻操りの様子を上流から第1基目に当たる写真1および第23基目写真2に示す(1995年10月撮影)。江戸末期には既に50基近くが壊され、第1基目の鼻操りも半壊状態にあることが分かる。左岸には作業用の階段が認められる。鼻操りは、壁の厚さが60~280cmの範囲にあり平均では158cm、壁の間隔は90~500cmあり平均では290cmとなっている。穴の形状は、蒲鉾型で半円形に近い物が13基、長方形が7基、扇形に近いものが4基、半崩壊状態で特定できないものが2基で、穴の高さは100~160cmあり平均では130cmであった。26基の鼻操りがある区間での路床の平均縦断勾配は約1/250である。また、上流より10基目の鼻操りの路床形状を図3に示す。この場所では、岩盤上に代表径15cm程度の礫が散在しており、ヨナは堆積していない。図3より路床は、鼻操りの設置位置で最も低く、壁間の中央位置で高い正弦波に近い形状を示し、波長600cmに対して波高は80cmとなっている。また、左岸と右岸の近傍で、路床の洗掘形状に顕著な差は見られず、ほぼ左右対称に近い形状となっていることが認められる。文献の中には1)、鼻操りの穴の位置は、左右交互に開けられていたとするものもあるが、調査の結果から壁の中央位置に半円形状に穿孔されており、左右交互に開けられた痕跡は無いこと、約400年が経過した現在でも路床の洗掘形状はほぼ左右対称であることから、鼻写真1半壊状態の鼻操り井手図2鼻操り井手の平面図写真2第23基目の鼻操り井手Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018013