ブックタイトルConsultant281

ページ
17/62

このページは Consultant281 の電子ブックに掲載されている17ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant281

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant281

H i (cm)3025200 1020x-x i (cm)H 1H 2H 3H 4H 530z(cm)2520151050x-x 22.0cm8.25cm 00 14.5cm20.75cm27.0cm-40 -20020 406080100120U(cm/s)図5鼻操り壁間の水面形図6主流速の鉛直分布る。鼻操りより下流の27cmまでの範囲においては、極大流速は流下方向に大きく変化しておらず、この区間はポテンシャルコアの領域にあることが考えられる。二次元壁面噴流における底面摩擦力τ0は、Bradshaw等6)によれば次式によって表される。ここに、rは水の密度、nは動粘性係数である。上式を鼻操り間の流れ場に適用すれば、t 0 / r = u 2 *= 27.2(cm /sec) 2となることから実際の鼻操りにおいて、摩擦速度はu *= 16.5(cm / sec)となる。それ故、無次元限界掃流力を0.05とすれば、鼻操り間において路床に留まる砂粒径は3.7cm以上となり、これ以下の砂は流送されることが推察され、中央粒径が0.2mm程度のヨナが鼻操り井手に堆積することはない。明らかになったこと加藤清正によって築造された鼻操り井手の現地調査や模型実験により、以下が明らかになった。1鼻操りは半壊状のもの2基を含めた26基が現存し、穴は壁面下部の中央位置に半円形状に穿孔されている。2鼻操り壁面を残すことにより、削減された掘削岩量は全体の約26%となり、作業量が大幅に節減された。3路床の洗掘形状が左右対称であることから、穴の位置は建設当初から中央であったことが推察された。4鼻操り間の流れは下層では壁面噴流の形態、上層では循環流を形成することが明らかにされた。5鼻操り間の流れは路床面近傍で安定した高速流を維持するため、中央粒径が約3.7cm以下の砂やヨナを流送する能力があることを明らかにした。奇抜な形状になった別の理由なお、鼻操り井手が開水路とトンネルを折衷した奇抜な形状になった主な理由として、水路へのヨナの堆積を防ぐことが指摘されているが、別の理由も推察された。それは、所期の流量を流下できる水路を、短期間に安全な作業工程と最小の作業量で中須山に建設するための工法が、結果的に鼻操り井手の形状になったという点である。『相川文書』によれば、川普請においては農閑期に婦女子まで動員し、男女の別なく賃金賦役の体制を取っていることが記されている。このため作業は人海戦術の形で進められたことが予想され、岩盤が阿蘇火砕流堆積物の溶結凝灰岩で柔らかい岩質から比較的掘削しやすいため、開水路とトンネルを折衷した鼻操り井手は、作業工程の効率と工事期間の短縮から現場で発想されたものと考えると理解が容易となる。さらに、鼻操り壁は斜面崩壊の抑止機能を持つことも一因に挙げられる。<参考文献>1)建設省熊本工事事務所:加藤清正の川づくり・町づくり、平成7年1O月2)小島徳貞編:勝国治水遺、著者および発行年は不明(熊本県立図書館所蔵)3)中野嘉太郎編:加藤清正伝、隆文館発行、1909(青潮社復刊、1979)4)森山恒雄:加藤清正の土木と治水(その三)、月刊建設、pp.85-89、1991年9月号5)N.Rajaratnam : Turbulent Jet、(野村安正訳:噴流)、森北出版、19816)Bradshaw,p.and Gee,M.T.:Turbulent Wall Jets with and without an ExternalStream, Aeronautics Research Council, No.3252, 1962Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018015