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特集熊本?阿蘇山との結びつき?3熊本地域における地下水の持続的利用に向けた保全活動寺田勝博TERADA Katsuhiro公益財団法人くまもと地下水財団事務局長「火の国」として知られる熊本は「水の国」とも呼ばれる。地下に膨大な地下水が存在し、世界に誇る地下水都市とも呼ばれる熊本地域であるが、近年水量の減少などが課題となっている。地下水の持続的利用に向け、地域をあげた取り組みを紹介する。くまもと地下水財団阿蘇外輪山西麓から連なる面積約1,041km 2の熊本地域には、熊本市を含む11市町村があり、約100万人の人々が暮らしている。この地域は、特に天然の地下水に恵まれており、水道水源をほぼ100%地下水で賄っている全国でも例のない地域である。しかし、経済の発展や生活水準の向上に伴い、地下水涵養量の減少による地下水位の低下や、硝酸性窒素などによる水質の悪化が問題となってきた。そのため、この清冽で豊かな地下水を未来に残すため、住民・事業者・行政等がそれぞれで水量と水質を守る取り組みを展開してきたが、熊本地域が一体となり広域的持続的に連携して、地下水保全に取り組んでいくための組織として、平成24年4月に公益財団法人「くまもと地下水財団」が設立された。熊本地域の地下水システム熊本地域の水循環については研究者や県・市共同で進めた調査等により、次の様なことが明らかになっている。・熊本地域の地下水は11市町村で共有し、阿蘇の噴火でできた地層が主な帯水層となっている。・熊本地域の年間約20億m 3の雨量のうち、約1/3が蒸発し、約1/3が河川になり、残り1/3の約6億m 3が地下水となる水循環系をなしている。・6億m 3の地下水涵養の内訳は、水田46%、畑地・草地等41%、山地13%で農地が主な供給源となっている。・地下水は阿蘇外輪から約20年かけて市内まで到達し、その大まかな経路も判明済み。このように概ね地域の水循環を科学的に解明するに至っており、さらなる研究も各大学や企業によって続け図1熊本地域と地下水の流れ図2地下水位の経年変化016Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018