ブックタイトルConsultant281

ページ
19/62

このページは Consultant281 の電子ブックに掲載されている19ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant281

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant281

られている。また熊本の地下水システムを語るとき欠かせないのが「阿蘇」と「加藤清正公」である。約27万年前から約9万年前にかけて、阿蘇火山が4度の大火砕流噴火を起こし、それが100m以上も厚く降り積もって地下水を育みやすい性質の大地ができた。さらに約400年前、肥後藩主の加藤清正公が、水が浸透しやすい性質の土地に多くの水田を開き、そこから大量に水が浸透して、ますます地下水が豊富になった。熊本の地下水システムは、阿蘇による「自然のシステム」と、清正公はじめ先人の努力による「人の営みのシステム」が絶妙に組み合わさってできているのである。図3地質断面図課題近年、熊本地域の地下水量は減少傾向にあることが、井戸の長年の水位観測でわかっている。その主な原因は2つあり、1つは都市化の進展により、地面がアスファルトやコンクリートに覆われ、雨水などがしみ込まなくなり地下水がつくられにくくなっている。2つ目は米の消費量が減り、休耕や畑地への転換などの増加が図4くまもと地下水財団を取り巻く組織ある。水田として利用される農地が半減してしまい、水田が主要な地下水の供給源となっている熊本地域では、地下水に大きな影響を与財団の役割と取り組みえている。くまもと地下水財団は、熊本地域の人々の暮らしを始水質については調査や監視を行っており、全体としてめ、農工業など産業活動の礎である地下水について、は良好な状況にあるが、近年一部地域で硝酸性窒素濃健全な循環環境の整備に取り組み、地下水と地域社会度が上昇傾向にあり、新たな課題となっている。の永続的な調和を図るという目的を果たしていくため、調査研究、水量保全、水質保全などの公益事業を行っ財団の組織ている。くまもと地下水財団は、理事会、評議員会、監事で組織されているが、その他に、県知事を議長に、熊本地域地下水環境調査研究事業11市町村長、大学教授等学識経験者、取水企業、地下水保全対策事業を行うためには、基礎データのNPO・住民代表、農業団体等をメンバーとする「熊本地蓄積が大変重要である。財団設立以前にも、熊本地域下水会議」という諮問機関が設けられ、熊本地域全体の地下水環境の調査研究が行われてきており、行政やの広域的な地下水保全の方向性を決定し、「くまもと育研究者などが独自に蓄積していた地下水に関するデー水会」という賛助会組織が財団の活動を支援していくタを、財団で一元管理している。使いやすいよう継続的仕組みとなっている。に収集・蓄積を進め、地下水位、水質、雨量、河川流量、文献(地下水関連資料・論文)等をもとに、熊本地域の様々な地点における地下水位や水質の情報などを、グラCivil Engineering Consultant VOL.281 October 2018017