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特集熊本?阿蘇山との結びつき?5阿蘇千年の草原を後世へ桐原章KIRIHARA Akira公益財団法人阿蘇グリーンストック専務理事人々の取り組みによって維持されてきた、阿蘇に広がる草原。この地を訪れた多くの人を魅了する風景であるばかりか、生物多様性を守り、熊本の地下水源を維持するなど多くの役割を担っている。阿蘇の草原を守る取り組みを紹介する。広大な阿蘇の草原火山で有名な阿蘇ですが、東西18km、南北25km、周囲128kmに及ぶ世界最大級のカルデラ地形の上には、日本一を誇る広大な草原が広がります。この草原は自然にできたものではなく、千年におよぶ古代から人々の手によって維持されてきました。昔の人々は稲作に代表される農業を営み、それと密接に関わる役牛などの飼育のため、また農業に欠かせない肥料を生産するために、草原を活用し維持してきたと考えられています。阿蘇の草原が今あるのは、地域の人々がなりわいとして、放牧、採草、野焼きといった営みを続けてきたことによるものです。写真1 2 3 ,000haにも及ぶ雄大な阿蘇の草原現在、約23,000haと言われる阿蘇の草原面積の約薪を得るための森林を共同で利用する共有地のような70%にあたる16,000haで毎年野焼きが行われています。ものです。入会地の多くは市町村が土地所有者となって野焼きは草原の森林化を防ぎ、草の目立ちを促す管理いて、古くからの利用形態である入会権を慣習的に認め作業です。草原性の生き物は早春の火入れでは大きなているという状態です。ダメージを受けることはなく、広々とした草原で世代を草原の維持管理は、入会地を利用しておもに畜産業ぼくやくみあい繋ぐことができます。を営んでいる農家で組織された牧野組合が行っており、野焼きや輪地切り(防火帯づくり)、牧柵・牧道の修入会地理・修繕などがあります。阿蘇の草原の多くは、集落ごとに定められた入会地トラクターなどが普及する前は、各家で役牛や馬を数となっています。入会地とは、阿蘇の場合では、入会権頭飼っていたので、集落の誰もが入会権を持ち、牧野組という権利を持つ人が、牛馬の放牧・採草を行う草原や合にも所属していました。しかし、機械化や化学肥料の024Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018