ブックタイトルConsultant281

ページ
28/62

このページは Consultant281 の電子ブックに掲載されている28ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant281

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant281

図2草原は森林に匹敵する水源涵養能力がある図3野焼きによる草原の維持は地球温暖化の抑制に貢献している作業がむずかしくなり、放棄によるヤブ化など草原面積の減少・草原の変容が進んでいます。それに伴って、阿蘇らしい草原景観が損なわれ、草原生態系の多様性が失われることなどが問題にされるようになりました。農村・都市・企業・行政の連携で草原を守る!─野焼き支援ボランティアの誕生─草原の危機が問題視され始めてまもなく「阿蘇グリーンストック運動」が始まりました。『阿蘇の緑の大地(草原・森林・農地)を広く国民共有の生命資産(グリーンストック)と位置付け、農村・都市・企業・行政四者の連携で後世へ引き継ぐ』をスローガンに、県内企業・団体・行政・市民からの拠出金により1995年に財団法人が設立され、2011年に公益財団法人へ移行しました。1999年から始まった「野焼き支援ボランティア活動」は、九州を中心に全国からボランティアを募り、研修会への参加を義務付けたうえで、人手不足や高齢化によって、野焼きや輪地切りの持続が困難な牧野へ派遣するものです。やがて20年を迎える地元以外のボランティアを取り入れた野焼き支援活動は、阿蘇千年の草原の歴史の中でも初めてのことであり、地元からの期待も大きく、社会的にも大きな反響と評価を得ています。当初は「地元で続けるのもやっとのきつい作業には誰も手伝いに来ない」と言われていましたが、いざ募集をかけてみると初年度の研修会には290名もの方が参加されました。翌年には財団のもとに「野焼き支援ボランティアの会」が発足。財団の活動会員と位置付けられ、現在900名が登録し活動を展開しています。都市在住の山好きの方が多く、中心年齢は60歳以上。『阿蘇への恩返し』写真4 火を見守る野焼き支援ボランティアを合言葉に、県内外から、遠くは関西や関東から駆けつける方もいらっしゃいます。ボランティアの方は、参加することで一般では入れない草原景観の堪能、地元の方の感謝の言葉、汗を流す充実感などを味わうことにやりがいを感じているようです。開始以来増加の一途をたどったボランティアの派遣要請には、財団の事務局だけでは対応が困難で、2001年にはリーダー制度が発足し、会員の約1割にあたる人数のリーダーの協力に大変助けられてきました。リーダーとは、野焼きなどの経験を積み、現役リーダーからの推薦を受け、更に役割や心得、救急救命など特別な「リーダー養成研修」を受講したボランティアです。年に3~4回活動内容や方針などを話し合う「リーダー全体会議」を行い、ボランティアの育成、指導、何より実際の活動の際にはボランティアを統率・サポートするという大変重要な役割を果たしています。026Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018