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巻頭言Consultantsもはや異常気象ではない異常気象-張りぼてになってしまったインフラ-永冶泰司一般社団法人建設コンサルタンツ協会常任理事災害大国日本「災害大国日本」という言葉は、古くから言われていることであるが、豪雨災害、地震の頻発、噴火など今でもその状況は変わっていない。むしろ近年のゲリラ豪雨という言葉に表されるように、豪雨災害は頻度や規模が大きくなっていると感じられる。昔は、時間雨量50mmというと「バケツをひっくり返したような雨」という表現を用いていたように、めったにない降雨量であったが、ここ数年は100mmを超えることが多々ある。毎年このような豪雨があるということは、もはや異常気象ではなく普通に発生する気象現象なのである。しつつも、ハードの機能を超える規模の災害が起きた時に、避難する時間をかせげるような構造物にする、あるいはハザードマップの作成、避難場所の整備等のソフト対策も平時に実施することを示す。しかしながら、西日本豪雨のように大規模な災害がここ数年、毎年発生している。200名を超える方々の尊い命が毎年奪われるということでもある。ハード・ソフトベストミックスは、想定される範囲の災害に対しては、ハードで耐えることを前提にしなければならないが、現在のインフラはその水準にないと言わざるを得ない。レベル2の地震対応のインフラはまだまだ少なく、耐震補強も十分には進んでいない。時間雨量50mmで設計されたままの河川や下水道の改日本のインフラ整備「日本のインフラ整備は概ね出来上がっているから新たな投資はいらない」と言う人がいるが、大いに疑問である。修もほとんど進んでいない。前述の見かけ上の整備が進んでいるということと合わせて言えば、もはや日本のインフラは張りぼてになってしまったといっても過言ではない。「どこへでも行けるよう大概の道路は出来上がっている」「都市の堤防は整備されている」「漁港も十分にある」ということなのだろうが、首都高は毎日渋滞し、大都市近郊の高速道路は毎週末10~20kmと渋滞する。都市内の水辺で遊べるところがどれほどあるだろうか。インバウンドといいながら、超大型客船の寄港できる港がほとんどない。これが先進国と言われる日本なのである。環境の変化に合わせた早急なインフラ再整備世界の自然環境や気象状況が大きく変わり、異常気象が異常でなくなった今日、その変化に合わせたインフラの整備水準の見直し及び再整備を進めなければならない。毎年200名を超す死者、数千名の被災者が出続けることは、なんとしても防がなければならない。また、災害発生時には建設コンサルタントはすぐに出動し、道路の通行可能性の調査、自然災害に耐えられないインフラ建設コンサルタンツ協会では、東日本大震災を受け、防災対策のハード・ソフトベストミックスを提唱してきた。これは「想定外の災害が起こりうる」ということを踏まえての提言である。ハードだけでは、あらゆる自然災害に対して、国民が安全・安心である環境を作ることには限界がある。このことから、ハード的防災対策をしっかりやることを前提に二次災害の発生の危険性の調査を行い、復旧設計等を緊急に行っているが、災害が頻発する今日において、その対応にも限界があり、何も出来ないでいる箇所も出てきている。張りぼてのインフラでは、事態は悪い方向にしか動いていないのである。平時の状況も合わせ、建設コンサルタントは、先進国日本のインフラ再整備を進める役割を担っていかなければならないと考えている。