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道明寺桜餅発祥の地大阪府「藤井寺市」株式会社片平新日本技研/技術管理部田中知実TANAKA Tomomi(会誌編集専門委員)歴史も味わいも深い和菓子全国で食べることの出来る道明寺桜餅。道明寺桜餅は塩漬けした桜の葉ともち米のつぶつぶ感、小豆の甘すぎない餡が絶妙にマッチしている。ひとつ食べるともう少し食べたい、なんとも後をひく和菓子である。大阪府藤井寺市写真1道明寺桜餅名産品『道明寺糒』道明寺糒を作るためのもち米を作付けしていた道明寺村も、1716年の洪水で大きな被害を受けている。これにより寺は台地上に再建され、集落の再編も行われた。現在まで残る道明寺旧集落の景観の基礎が形成されたのである。用水をめぐり他の村々との対立が起こったが、道明寺村は献上糒に用いるもち米を作るための水が必要と主張している。これらのことから道明寺村の人々が道明寺糒に誇りをもって作っていたことがうかがえる。現在、糒は道明寺内の尼僧たちの手で丁寧に袋詰めされ、道明寺にて購入することができる。これを熱湯で蒸しあげると柔らかくなり、きな粉や餡、砂糖にまぶすと、甘味となる。乾燥してしまったお供え物のご飯を無駄にせず、なおかつおいしく食べようとする昔の人々の知恵と思いは今もなお「もったいない」という現代人の心に繋がっているのではないだろうか。<参考文献>1)藤井寺市史第2巻(通史編2)藤井寺市史編さん委員会編藤井寺市(2002年1月)2)糧友14刊3月号食糧協会(1939年3月)<取材協力>1)蓮土山道明寺2)藤井寺市政策企画部写真2道明寺糒<写真提供>写真1写真AC写真2蓮土山道明寺Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018033