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論説・提言第11回このコーナーでは「日本が目指すべき姿と社会のあり方、そこで必要とされるインフラと実現に向けた方策、そしてその際に果たすべき建設コンサルタントの役割とは」をテーマに、各専門分野の視点からの提言を掲載しています。これからのインフラと建設コンサルタント厳しかった建設環境も最近明るい兆しが見られますが、インフラを計画的・効率的に整備・保全するためには、最適となる全体俯瞰図(ビッグ・ピクチャー)を策定・共有することが必要不可欠です。少子高齢化・人口減少時代、建設コンサルタントがインフラ整備・保全を然るべくシェア(分担)することが肝要であり、建設コンサルタントの持続的な発展のため、官民連携の強化と経営力・技術力の向上が求められます。暮らしや経済社会活動を支えるインフラ我々は安全で豊かな暮らしと健全な経済発展のため、時々のニーズに応じイノベーションを促進しながらインフラ整備・保全を実施してきました。しかし、脆弱な国土では、地震、台風、梅雨・秋雨前線、ゲリラ豪雨、火山噴火等々による災害が繰り返し発生します。また、陸海空のネットワークも未だミッシングリンクが解消されず、昨今の小口化・多頻度化する物流のサプライチェーンに充分に対応していません。一方で「防災・減災等に資する国土強靭化」や「まち・ひと・しごと創生=地方創生」に資する「コンパクト+ネットワーク」、2020年東京オリンピック・パラリンピック対応や予防的な維持管理・更新等々の多様なインフラニーズがあります。財政再建の下、公共事業予算が削減されてきましたが、『黒部の太陽』の様な感動的な物語の広報と評価手法や優先順位の改善に努めると共に、多様なインフラニーズに的確に対応し得る予算を確保することが必要不可欠です。これからのインフラ整備・保全の方向過度の東京一極集中を解消し、地方の特色ある自立的発展を促進する「地方創生」が国家的課題であり、バランスの取れた国土利用と豊かな暮らしや健全な経済発展を図るため、「国土強靭化」との連携を強化し良質なインフラ整備・保全を進めることが肝要です。インフラの整備は未だ道半ばですが、事後保全から予防保全へ転換し、既存ストックのスマートな活用やアセットマネジメントを促進する必要があります。併せて、量から質1948年、和歌山県生まれ。1972年、東京大学工学部土木工学科卒業し建設省入省。道路局企画課長、近畿地方整備局長、道路局長、国土交通省技監、国土交通事務次官を経て2010年退官。同年国土交通省顧問、2 0 11年より芝浦工業大学教授、2013年より一般財団法人国土技術研究センター理事長。芝浦工業大学客員教授、一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会会長、一般社団法人日本トンネル技術協会会長を兼務。へ、経済優先からワーク・ライフ・バランスへ、画一性から多様性への価値転換を図り、景観・デザイン、快適性、信頼性、居心地良さ等新たな付加価値を創造し高めて行くことが求められます。「地方創生」は「ネットワーク」により他地域との交流を促進し、「地産地消+多消」で「稼ぐ」と共に「コンパクト化」により定住生活の環境改善を図ることが肝要です。「道の駅」を活用し、再生エネルギーの活用や防災・地方創生の拠点としての機能強化、更に日本風景街道等沿線地域の活性化により“点から線へ、更に面、まちへ”と進化することが望まれます。持続的な発展へ、全体俯瞰図を語り手谷口博昭(TANIGUCHI Hiroaki)一般財団法人国土技術研究センター理事長長期間を要するインフラの整備・保全やそれをシェアする建設コンサルタントの持続的発展には、財源の裏付けに基づく信頼され得る全体俯瞰図が必要不可欠です。我が国では今は策定されなくなった道路に関する長期計画が、米英国では今も策定されています。米国のビジネスでは全体俯瞰図が必要不可欠とされます(『僕が「プロ経営者」になれた理由』樋口泰行著、日本経済新聞出版社参照)。インフラの町医者としての維持管理や被災時の円滑な初動活動を担う地域の建設業は「地方創生」の核であり、全国レベルのみならず、地域毎の「持続事業量」の見通しが立つ全体俯瞰図の策定・共有と共に、リニアや東京外環等既存のプロジェクトの加速に加え“立体的な都市再生”等魅力的な新しいプロジェクトの創出が期待されます。002Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018