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紅葉谷川第76回戦後の混乱期に生まれた美しい砂防「紅葉谷川庭園砂防」広島県廿日市市株式会社千代田コンサルタント/社会環境事業部/総合計画室-有賀圭司/ARIGA Keiji(会誌編集専門委員)■世界遺産を守り続ける砂防広島の宮島といえば、世界遺産にも指定され国内外から多くの人が訪れる日本を代表する一大観光地である。平清盛により12世紀に建設された厳島神社の社殿と大鳥居は、宮島のシンボルとして現在もその偉観を呈している。しかしこの宮島が、第二次世界大戦の終戦からわずか1カ月という時期に、土石流により大きな被害を受けていたことはあまり知られていない。窮乏の時代に、様々な人の尽力により復旧整備され、今に至るまで宮島を守り続けてきたのが、厳島神社の背後の山中に位置する紅葉谷川の砂防である。えんていしかもこの紅葉谷川では、いわゆる砂防堰堤として想像される無骨な姿とは大きく異なる、日本庭園と見間違うばかりの美しい風景を見せている。紅葉の季節、紅の樹々の下に山中の渓流のような穏やかな流れを見せる景色は、戦後の混乱した社会の中で創り出されたのである。なぜ、この紅葉谷川砂防は生まれたのだろうか。■終戦から33日後の台風1945(昭和20)年9月17日夜。最低気圧916hPaの非常に強い台風が広島地方を襲った。枕崎台風と呼ばれるこの台風は、空襲や原爆で焼け野原になった広島を直撃し、死者行方不明者2,012人、家屋全半壊・流失計6,832戸に上る被写真1枕崎台風後の紅葉谷川042Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018