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OVERSEASDemocratic Socialist Republic of Sri Lanka─スリランカ民主社会主義共和国─スリランカ滞在記海外事情杉山宗大SUGIYAMA Munehiro株式会社建設技術研究所/東京本社地球環境センターあまり知られていない身近ですぐに行ける国「スリランカ」という国名を聞いて、どこにある国かすぐにわかる人はあまり多くないであろう。インドの南に位置し、面積6万5,610km 2(北海道の0.8倍)、人口2千万人強の小さな島国で、正式な国名はスリランカ民主社会主義共和国である。スリランカといえば紅茶や宝石の産地として知られている程度で、日本とはあまり縁のない遠い国のように思われているであろうが、実はすごく身近で行きやすい国なのである。日本からスリランカへは大変便利な直行便が就航しており、スリランカ航空が週に約3便、成田から最大都市コロンボまで片道約8~9時間で行くことができる。そんなスリランカに約1ヶ月間滞在する機会があったため、現地で見聞したことを紹介する。スリランカの玄関口スリランカの玄関口バンダラナイケ国際空港は最大都市コロンボの近郊に立地しており、スリランカ航空のハブ空港で、日本でいう成田空港のような存在である。滑走路が1本だけの小規模な空港でありながら、日本のODAで近代化が行われたターミナルビルが建ち、空港内には各種飲食店や両替、携帯電話販売店などが集約されている。滞在者にとって必要なものをここで一通り調達することが可能で、非常に便利であり、空港内にいる限り途上国に来たという印象はない。暑い国スリランカに到着したのは17時半頃であったが、10月下旬だというのに気温が30℃で湿度も高かった。コロンボ近郊は熱帯雨林気候に属し、年間を通じて気温が高く降水量が多い地域である。雨は夕立のように短時間で降ることが多く、ほぼ毎日晴れと雨を繰り返す不安定な天候である。そのため、現地の人々は雨が降ると屋根のあるところで雨宿りし、天候が回復するのを待ってから再び外を歩くことが多い。私は趣味が街歩きということもあり、休日には街中に出てみたのだが、気温が30℃前後もあり、長時間徒歩で移動すると汗が止まらず、体力的にとてもきつい。近代的な建物のほとんどにエアコンが普及しているため、暑さで疲れたときは最寄のスーパーマーケットなどで涼みながらの行動になった。激しい交通渋滞スリランカでタクシー等に乗ると、まず感じるのは交通渋滞の激しさである。トゥクトゥクという3輪タクシーは頻繁に走っているのであるが、乗っても渋滞のため到着時刻がまったく読めない(写真1)。そのため、タクシーで出勤する際は、かなり時間に余裕を持って出発しなければならない。激しい交通渋滞の原因はさまざまありそうだが、次の要因が大きいと考えている。まず、信号整備が進んでいないことである。最大都市コロンボの街中でさえ信号をあまり見かけない。多くの交差点は警察官による手動の交通整理に頼っており、これがあまりうまく機能していないように感じる。次に、道路網整備の遅れである。スリランカでは都市間高速道路がようやく開通したばかりであり、日本046Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018