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写真9キャンディ湖にいる体長約1.5mの水トカゲ写真10ダンブッラの石窟内部り、街中では中国人労働者を見かける(写真7)。中国語の看板を掲げた店もいくつかある。中国はアジアからヨーロッパに至る経済圏である「一帯一路構想」を推進しており、スリランカはその海上ルートの要衝に位置している。スリランカ南部の都市では、港湾の運営権を中国が取得している。このように、中国は着々とスリランカの政治・経済に大きな影響を与えている。私のような東洋人がコロンボの街中を歩いていると、多くの場合、中国人と間違われる。そのくらい、この国において中国の存在感は大きい。存在感を増す中国に対して、現地の人々がどのような印象を抱いているかは分からないが、相対的に日本に対する印象が薄いと感じた。日本もJICA等のプロジェクトを通じてこれまでスリランカに多大な貢献をしてきているところであるが、これらの成果をいかに現地の人々にわかりやすく示していくかが課題だと感じた。隠れた観光名所スリランカは北海道の約80%の面積しかない小さな国であるが、この狭い国土の中に世界文化遺産6件、世界自然遺産2件を有しており、観光のポテンシャルは高い。1聖地キャンディ(1 9 8 8年登録)キャンディはスリランカ中部の山間に位置し、街全体が世界文化遺産である。ここにはブッダの歯を奉っているとされてスリランカ国民の多くの信仰を集める「仏歯寺」がある(写真8)。また、かつて英国領になる前に存在したキャンディ王国の首都でもあった。日本の都市で例えるなら京都のような存在である。この街最大の見所である仏歯寺では、肝心のブッダの歯がどのようになっているか分かりづらかったが、境内は参拝客で込み合っており、スリランカ人の信仰心の深さが分かる。敷地内にはかつての王宮だった建物も残されており、世界仏教博物館もあって仏教の聖地となっている。仏歯寺の前には人造のキャンディ湖が広がり、周囲を山に囲まれた狭い盆地でありながら風光明媚な土地でもある。ちなみに、キャンディ湖のほとりには巨大な水トカゲが生息しているので、爬虫類が苦手な方は要注意だ(写真9)。2ダンブッラの黄金寺院(19 9 1年登録)ダンブッラはスリランカ北中部にある内陸の街であり、街の規模は小さいが複数の幹線道路が交わる交通の要衝となっている。コロンボからスリランカ北部に行く長距離バスの多くがこの街を経由する。郊外になだらかな岩山があり、そこに黄金寺院がある。黄金寺院内の岩山を登ると、中腹に複数の時代を経て掘られた大小5つの石窟がある。石窟の中には数十体の仏像やストゥーパ(卒塔婆)が奉納されている(写真10)。天井にも無数の仏画が描かれており、仏教の世界観を再現した神秘的な空間が広がっている。成長のポテンシャルを秘めた国スリランカは小さな島国ではあるが、人々はみな優しく、治安も良好で、高い成長のポテンシャルを秘めた国である。スリランカが現在抱える多くの課題は、かつて日本が経験した問題も多く、今後も日本の技術的な貢献が大きく期待される国であると感じた。Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018049