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国際委員会だより第34回Message from International committee我が国の政府開発援助(ODA)の動向とコンサルタント企業の課題国際委員会熊岸健治│KUMAGISHI Kenji建設コンサルタンツ協会の会員企業の海外業務の主たる資金源は日本国のODA予算であり、我が国ODAによる協力の最大の実施機関である独立行政法人「国際協力機構(JICA)」から直接発注される、有償資金協力(円借款)、無償資金協力(無償)及び技術協力事業等の実施に関連するフィージビリティ調査や人材育成等の業務と、円借款の借入国及び無償の被供与国により発注される、実施設計や施工監理業務が主たる業務となっている。JICA等からのODA事業関連の受注の他、資金ソースからODAと同じ公的資金に定義される、国際復興開発銀行(世界銀行)やアジア開発銀行(ADB)等の国際金融機関からの受注や非ODAに分類される民間企業等の国際協力事業からの受注となっている。因みに、2017年度の受注総額は、ODA等公的資金からの受注額がこれまで最高の1,288.3億円、非ODAが89億円という結果で、増加は円借款関連業務の受注増によるものである。(表1)コンサルタント企業とODA事業との関わり我が国のODAは、1954年にコロンボプラン加盟による技術協力の開始で始まったが、それに先立って、戦前、戦中の時点において我が国の海外進出の国策に基づいて行われた資源開発やそれに伴う道路、港湾、空港などの建設事業に係る民間ベースの国際協力等が行われていた。表1 2016年度の受注総額に占めるODA・非ODAの内訳資金別受注額(億円)比率(%)受注件数ODA1,288.3(896.8)93.5(86.4)728(712)非ODA89.0(141.4)6.5(13.6)136(147)合計1,377.3(1,038.1)100.0(100.0)864(859)*カッコ内は前年出典:国建協「海外コンサルティング業務等受注実績調査報告書(平成28年度)」後の大手の民間コンサルタント企業が初期の海外事業として、戦前に中国本土、朝鮮半島やアジア地域で手掛けた発電所建設、灌漑施設の建設、鉄道や港湾建設及び内務省所属の土木技術者によるアフガニスタン、タイやインドネシアにおける建設技術の指導等の評価は、後年、我が国のODAによるインフラ整備事業の実施に当たり多くの要請が寄せられたことからも、日本の技術への信頼性として示されたと考えられる。コロンボ計画加盟により1954年に開始される、研修員の受入れと専門家派遣事業と同時期に、ビルマ国に対し開始された戦後賠償事業において、事前に民間コンサルタントがビルマ政府の要請で策定した発電所建設計画が賠償事業第一号として実施されることになった。これを手始めに、賠償事業の対象となる各国において、同様に多くの案件が賠償事業として正式に採択されたことで、コンサルタント企業の関与がインフラ整備事業の調査・計画・実施において重要な役割を果たすことが認識されたと考えられる。1968年に賠償事業が無償資金協力事業として引き継がれ、コンサルタントとの契約により調査から施工監理業務までを一貫して実施する事業として、今日に至っている。JICAから無償資金協力事業の準備調査を受注し、対象事業の調査・計画・予備設計・供与額の算出等の業務を行い、問題なければ、被供与国による実施設計・施工監理業務等の実施についてJICAから推薦が受けられることになっている。技術協力事業における調査団派遣事業として1954年に開始された開発調査事業は、開始当初の官ベースの短期調査方式から、プロポーザル方式の1973年の一部試行を経て、1979年からの本格導入となり、民間コンサルタントとの契約による開発調査事業として、マス054Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018