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タープラン策定、無償・有償事業のフィージビリティ―調査等を実施する段階に移行した。有償資金協力事業(円借款)は、1961年に日本輸出入銀行(輸銀)に併せ海外経済協力基金(OECF)が設立・開始されたが、1975年に両者間の業務調整の結果、OECF(1999年輸銀と統合し国際協力銀行―JBICに改称)が円借款の一元的実施に当たることが決定し、JICAとの連携がさらに緊密化することになった。1998年にアジア経済危機への支援策として導入された特別円借(タイド方式)の実施を機に、JICA・JBICは連携D/D(特別円借の借入国負担軽減策として実施設計を技術協力の一貫として日本側の負担で実施する)を本格的に導入した。2002年に特別円借の適用終了に伴い、タイド方式の本邦技術活用条件(STEP)の適用が導入され、日本側負担による実施設計の実施もSTEP案件に限り継続されることになった。これによりJICA発注の有償資金協力準備調査に引き続き、実施設計業務を継続的に受注することが可能となる。通常は、円借款供与後の実施に向けての実施設計業務以降は、被供与国による国際入札方式によるコンサルタント選定に委ねられる。2008年JICAとJBICの円借款部門が統合し、新JICA誕生後は、有償資金協力関連の調査、人材育成事業及び実施設計業務等に要する経費は、技術協力・無償資金協力事業の実施予算である運営費交付金とは別の、有償勘定技術支援費で支弁されることになっている。2003年以降プロジェクト方式技術協力事業は、JICAが特殊法人から独立行政法人へと切り替わり、直営方式に加え、新たにコンサルタント活用方式も導入することになったことにより、コンサルタントの業務範囲を拡大する契機となった。「O D A大綱」から「開発協力大綱」へ1992年に決定され、2003年に改定されたODA大綱は、これまで我が国のODA政策の基本的理念等を表してきたが、ODA60周年を迎え、日本及び国際社会が表2日本から開発途上国への資金の流れ暦年項目20152016政府開発援助9,17110,380その他政府資金-2774,148民間資金49,79339,150民間非営利団体による贈与498683総計59,18654,361*(支出純額ベース、単位:百万ドル)出典:外務省「2017年開発協力白書」今まさに転換期にあるとの認識の下、「ODA大綱」の見直しを行い、2015年2月にODAを進化させる政策として「開発協力大綱」を閣議決定した。『外交青書』によれば、(1)「援助」から、対等なパートナーシップによる互恵的「協力」を目指す。(2)民間資金等ODA以外による活動(表2)との連携強化や対象や課題の観点から協力のスコープを拡大する。重点項目として、1「質の高い成長」とそれを通じた貧困撲滅、2普遍的価値の共有、平和で安全な社会の実現、3地球規模課題への取り組みを通じた持続可能で強靭な国際社会の構築、が挙げられている。新大綱の理念を具体化する方針として政府が策定・実施している、「インフラシステム輸出戦略」は、1官民一体となった競争力強化、2質の高いインフラの推進による国際貢献、3我が国の技術・知見を生かしたインフラ投資の拡大、4幅広いインフラ分野への取り組み、等を目的とし、2013年に策定され、毎年の改訂を経て、今年6月の「経協インフラ閣僚会議」における6弾目のフォローアップにおいて、「2020年に約30兆円」の目標達成に向けて、着実な成果が確認されている。今後の日本の国際協力におけるコンサルタントの課題経済産業省が2017年2月に公表した「コンサルタント機能強化タスクフォース」の報告書に挙げられている「インフラ輸出推進のためのコンサルティング機能の分析と対応策」等では、我が国の今後のODAを含む国際協力においてコンサルタント企業等が取り組むべき課題が挙げられており、それら課題の解決が今後の業務拡大の道となると考えられるので、以下項目のみ紹介する。なお、インフラ輸出の推進のためには、案件形成の各段階を通じて、価格及び受注競争力の強化、価格競争の回避等への対応が不可欠であるとの指摘もされている。1.案件形成段階ごとの課題と対応方針・強化策:欧米系のコンサルタントと比較して強化すべき点として、1案件上流(面的開発・MP・売り込み機能)について、2 EPC段階について、3事業運営・PPPについて。2.円借款における開発コンサルティング機能について、1高齢化等による人材確保の困難さ、2利益率の低さ、3産業界との連携の少なさ、等の解消が急務である。以上については、経済産業省等政府として対応すべき点等についても言及がある。Civil Engineering Consultant VOL.281 October 2018055