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写真6 現在は歩道橋兼水道橋となっている3代目の祝橋写真7 両側にワインラックが並ぶ勝沼トンネルワインカーヴの構想の一部として整備がすすめられたのである。■旧深沢トンネルと観光トンネル内は年間を通して気温が6~14℃、湿度45~65%に保たれるため、ワインを健全に長期熟成し、付加価値を高めるワイン貯蔵庫に生まれ変わることとなった。整備にあたってはレールと枕木を撤去し、床はコンクリート張りとした。壁面や坑口のレンガ、花崗岩は当時の面影を残したままとしている。2005年に「勝沼トンネルワインカーヴ」として生まれ変わった旧深沢トンネルには、720mlのワインボトルを300本収納できるワインラックが322ユニット設置され、全てのユニットが個人オーナーやレストランと契約済みである。ワインカーヴに足を踏み入れると、とても涼しく、奥に向かって上り坂になっているトンネル内に設置された各ユニットにはオーナーこだわりのワインが所狭しと並ぶ。手前の個人オーナー向けユニットの先は、企業向け大型収納ユニットとなり、ここにも多くのワインボトルが保管されている。山梨県は台風や地震などの災害に襲われる危険性が低い土地柄であることも、ワインにとって良い環境なのだろう。ワインカーヴの入り口には管理棟兼観光案内所が設置され、事前に連絡すればワインカーヴ内が見学できる。勝沼トンネルワインカーヴの正面は大日影トンネルだ。このトンネルも構想の一部として整備され、2007(平成19)年には当時の線路や水路をそのままに遊歩道として生まれ変わったが、2016(平成28)年に実施された健全度調査にて漏水や経年劣化への予防対策が必要写真8勝沼トンネルワインカーヴの管理棟兼観光案内所写真9 遊歩道として開放されていた当時の大日影トンネルとされたため、残念なことに閉鎖されている。勝沼フットパスの会によって開発されたフットパスルートを辿るツアーも開催されている。甲州市には全国最多となる33ものワイナリーがあり、甲州ワインは世界最大の国際ワインコンクールでも金賞を受賞。今もぶどうとワインの歴史を紡いでいる。ぜひ勝沼を訪れて、ぶどうとワインの歴史に触れてみてはいかがだろうか。<参考資料>1)『ぶどうとワインのまち:近代産業遺産によるまちづくり?勝沼タイムトンネル100年構想?』2004年勝沼町2)『勝沼町誌』勝沼町誌刊行委員会1962年勝沼町役場3)『写真で見るふるさと勝沼』勝沼町文化協会1998年勝沼町4)『ワインカーヴになった明治の鉄道トンネル―勝沼トンネルワインカーヴ(旧深沢トンネル)―』野田滋2006年土木学会誌5)『ワインと先人の知恵を楽しむ「旧大日影トンネル」』Consultant264(2014年7月)号「土木遺産の香」近藤安統一般社団法人建設コンサルタンツ協会6)キリン株式会社ホームページ歴史人物伝日本のワインのパイオニアたち(https://www.kirin.co.jp/entertainment/museum/person/wine/01.html)<取材協力・資料提供>1)甲州市役所観光商工課2)甲州市勝沼ぶどうの丘<図・写真提供>図1株式会社大應作製P18上、写真6山上英之写真1、3、4、8熊井彩乃写真2参考資料3)写真5、7、9塚本敏行Civil Engineering Consultant VOL.282 January 2019021