ブックタイトルConsultant282

ページ
41/64

このページは Consultant282 の電子ブックに掲載されている41ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant282

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant282

写真2桁の状況写真3橋脚の状況表1設計地震動と目標耐震性能及び照査方法レベル1地震動レベル2地震動耐震性能1・地震によって橋としての健全性を損なわない(地震前と同じ機能確保)・線形静的解析および線形時刻歴応答解析の実施耐震性能3・地震による損傷が橋として致命的とならない(落橋しない)・非線形時刻歴応答解析の実施写真4 当て板補強とP Cケーブルによる耐震対策用いて全部材を2010(平成22)年度に調査した。上部工は、主桁ウェブがおおむね健全である一方で、上下フランジのアングル材、対傾構・横構のガセット部、支承付近、リベットの腐食による損傷が進んでいた。これは、積雪や枕木による湿気、部材端部の塩分付着などが要因と考えられる。橋脚支柱は、溝型鋼フランジ部、タイプレート及び斜材のガセット部等の狭隘部の腐食が激しく、断面欠損が進んでいた。支柱部のボルトの欠損率は7%程度であった。■構造設計方針鉄道橋から歩行者利用の展望施設へ用途変更となるため、歩道橋の現行基準(『道路橋示方書』及び『立体横断施設技術基準』)を適用することとした。耐震性能は、レベル2地震動に対しては落橋に対する二次的被害を防止するため、耐震性能3を確保する方針とし、立体モデルによる動的解析を実施した。安全性の照査では、落橋に対する安全性を確保するため、最大応答変位の照査と残留変位の照査を行い、応答変位に達しても変位急増点は見られず構造全体系の安全性は確保されていることを確認した。■既設部材の照査及び補強本鉄橋の特徴は透過性の高いトレッスル橋脚であり、その形態を残すことを重視する補修方針とした。上部工は鉄道橋から展望施設化で活荷重が減少したことにより、補強が不要であった。損傷が激しい箇所については部材取り替えを基本とし、特に腐食による断面欠損が激しい上フランジは、展望施設としての橋面設備を設置するための連結部材であることを踏まえ、全部材を取り替えることとした。橋脚支柱は溝型鋼フランジ部の断面欠損が激しく、取り替えが困難な部材であることから支柱全長にわたりアングルで補強し、フランジを無視したU断面を有効断面とした。照査した結果、補強アングルによる断面性能でレベル2地震時の耐力が確保できたため、補強は不要とした。橋脚基部はレベル2地震動に伴う柱基部の上向きの力に対して既設アンカーの引き抜き耐力が不足するため、浮上がり防止を目的としたPCケーブルによる補強を実施した(写真4)。落橋防止システムは橋台部の沓座拡幅設置、桁連結部の連結板の交換、橋脚ごとの上部工との緩衝連結チェーン設置、桁間への鋼製ブラケットを設置した。■展望施設のデザイン方針土木遺産としての「歴史性」、展望施設としての「利用性」、利用者表2主な配慮事項観点主な配慮事項・既存の姿を極力変えない歴史性・歴史ある姿との調和を図る・新たな施設整備は最小限にする・高齢者や車椅子利用者等多様な来訪者が使いやすいように、バリアフリーに利用性対応する・日本海や周囲の自然などに対する眺望を確保する・積雪やつらら等、特に冬季の気候に対して配慮する安全性・投棄防止、墜落に対し、利用者及び橋梁下に対する安全を確保するCivil Engineering Consultant VOL.282 January 2019039