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写真9保存区間写真11夜間照明写真13全景■深夜や荒天時の安全対策展望施設は深夜や荒天時に立ち入りできないように門扉で閉鎖することとした。門扉支柱は展望施設のゲートになるため、地場材の神鍋石を用いた石柱とした。展望施設の照明は、目立たないように線路側の転落防止柵支柱の忍び返し部にLED照明を設置した。写真10「空の駅」公園施設写真12ライトアップ■展望施設オープン2013(平成25)年5月3日、余部鉄橋「空の駅」展望施設がオープンした。1959(昭和34)年の餘部駅開業までは、余部集落住民が隣の鎧駅まで余部鉄橋の上を歩いていたので約半世紀ぶりに鉄橋の上を人が歩いたことになる。同年8月には鉄橋下の「空の駅」公園施設も開放された。観光面では、本施設の見学と道の駅「あまるべ」での海産物や鉄橋グッズの購買、山陰海岸ジオパークや天の橋立との周遊、カニ料理と城崎温泉宿泊等のツアーも旅行会社で実施されている。土木遺産をそのままの姿で保存する以上の地域への波及効果を生み出している。また、これまで土木に興味がなかった多くの人が観光の一環として、歴史や技術を知ることに繋がっている。2014(平成26)年度には「適切な補修により1世紀にわたりほぼ建設当時の姿を残した貴重な土木遺産」として、土木学会選奨土木遺産に選定された。■5周年を迎えて2017(平成29)年11月には高さ47mのエレベータ(余部クリスタルタワー)が完成し、展望施設へのアクセス性が向上した。LED投光器により、ライトアップが行われている。翌年8月には公園を含む全面供用開始から5周年を迎え、週末やお盆期間に鉄橋のライトアップも実施され、余部クリスタルタワーとの光の競演が行われた。本プロジェクトは、近代日本を牽引した鉄道橋を観光産業振興が進む現代に合わせた機能転換事業ともいえる。時代に応じた改変で歴史的価値を後世に伝えていくことは立派な文化活動であり、我々建設コンサルタンツはその一翼を担っている。寿命を迎える土木施設が今後右肩上がりで増えていく中で、参考となれば幸いである。<参考文献>1)『土木遺産のリノベーションと長寿命化?余部鉄橋「空の駅」展望施設?』橋梁と基礎2013年12月建設図書Civil Engineering Consultant VOL.282 January 2019041